2023.05.09
良心的でカジュアルな店が多いイメージがある目黒だが、都内にその名を轟かせる実力店も点在している。
この街に足を運ぶきっかけを生む、“磁力”となる3軒の名店の魅力を、改めて紐解いた!
1.目黒の路地裏から世界に羽ばたく、焼き鳥界のレジェンドの凄み
『鳥しき』
目黒の地で16年。
日本どころか、世界中のフーディ達がこぞって訪れる焼き鳥界のレジェンドたる存在、それがここ『鳥しき』だ。
鶏への理解、串打ち、焼き。すべてにおいて現状に満足せず、高みを目指す
カリッと焦げた焼き目も香ばしいかしわ(もも肉)から始まるおまかせストップ制のコースでは、同店発祥の「膝まわり」やクリスピーな皮の食感と芳醇な身のコントラストに思わずうなる「手羽先」など、珠玉の串が次々繰り出される。
かぶりつけば、口中に滴り落ちる肉汁に思わず法悦に浸る。
「ジューシーで熱のこもった焼き鳥が理想の味です」とは池川さん。
均一に火を入れるためには、ムラなく中心に串を打つことが重要。
手早く正確にが必須ゆえ、時計を置き時間を計りながら仕込む。
近火の強火で手早く返しながら焼く独自のスタイルも、全てはそのためだ。が、その焼き方も日々研さんを怠らない。
「いかに均等に火を入れ、肉汁を閉じ込めるかを常に念頭に入れて焼く」と言い、結果辿りついたのが、串を逆に置いたり、片側を持ちあげるといった立体的に焼く手法。
それも炭火の強さや輻射熱の動き、炭の隙間を抜ける空気の流れ等々を的確に把握していればこそだろう。
ミシュランの星を取り続けて11年余り。それにおごることなく、焼き鳥に敬意を払い、さらなる美味を追求する。
その真摯な姿勢が、世界をもとりこにする唯一無二の焼き鳥を生み出している。
【名店たちの新たな展望とは?】
定休日には若手が串を焼く『鳥かど』が行われる
現在、『鳥しき』の定休日を使って、若手が焼き台に立つ『鳥かど』もオープン。写真はそのひとり、狩野汰成さん。
比較的予約が取りやすい。「おまかせコース」(8,900円)より。
■店舗概要
店名:鳥しき
住所:品川区上大崎2-14-12
TEL:03-3440-7656
営業時間:17:00~(L.O.21:00)
定休日:日曜、月曜、火曜
席数:カウンター12席
2.サロンのような密やかな空気の中、タイ料理の新しい一面に出合う
『タイ料理 みもっと』
権之助坂も目黒川まで下ると人通りは減るが、この店があるのはもっと静かな住宅街の路地。
まさに隠れ家で、オーナーシェフのみもっと先生(料理教室をしていたため、この呼び名に)が腕をふるう。
「タイの地方料理を日本の旬食材で作り、おまかせで提供しています。どんな組み合わせがベストか10年かけて研究しています」
バンコクの料理教室には週6で通い詰めたという没頭型のみもっと先生。
ナチュラルワインもそろうが、きっかけは恵比寿『Winestand Waltz』の大山恭弘さん。巻き込み力と突き詰める力で華開いた。
なじみのある料理は旬の食材を絡めて極上の料理に
「ゲーンキァオ ワーン ホイタラップ」。
グリーンカレーにハマグリは本国にない取り合わせ。まろやかな旨みが生きていてクセになる。菜花など旬の春野菜も添えた。
料理はすべておまかせ(13,200円)の例。
タイ料理の伝統を重んじ独自の進化を施す。初めてだけど落ち着く味
「トムカーガイ ボーラン」。
日本ではスープのイメージが強いが、いにしえのトムカーガイは肉を美味しく食べるための料理。
唐辛子やパームシュガーで甘辛く作るチリジャムを添えて古典レシピを完全踏襲。
先生がタイ料理の奥深さに気づいたのはバンコクにて。現地で名門ホテルのプロ向け料理教室に通い詰め、数百のレシピを習得。以来、研究を重ねている。
その向上心は本物。古典料理を教える師がいると聞けばタイの奥地でも厭わず足を運ぶ。バイタリティーが店の空気を作るのだろう。
初訪問でもすぐ打ち解けられる和やかさがあり、集うゲストは皆笑顔。
輪の中心で調理する先生も「タイ南部は意外と葉物のハーブを使わない」と博識を披露。食べれば研究成果は明白。体に美味しさがなじむ。
「グリーンカレーに貝の旨みって、われながら大発明よね(笑)」
リピーターが多いのも頷ける楽しさで、未知の味に出合い、笑うため、目黒に通い詰めたくなる。
【名店たちの新たな展望とは?】
5月には京都・鞍馬口に姉妹店をオープン予定!
日本のタイ料理をより極めるべく、懐石仕立てで提供する『MOT』が今春、誕生。
営業は日・月の夜のみで、火~土はモーニングとランチで薬膳スープを提供する『TOM』に。
■店舗概要
店名:タイ料理 みもっと
住所:目黒区目黒1-24-7 サンライズ目黒 1F
TEL:03-6426-6352
営業時間:17:30~22:00
定休日:日曜、月曜、火曜
席数:カウンター4席、テーブル6席
3.若き手腕と抜群のエンタメ感で鮨の新たなる扉を開いた
『鮨 りんだ』
アメリカ仕込みのエンターテインメント性と江戸前の確かな仕事で、一躍人気店となった『鮨 りんだ』。
ご主人・河野勇太さんの「美味しかっただけではなく楽しかったと思える鮨店を」との姿勢は、それまで清廉で実直なイメージが強かった鮨店の印象を覆したと言ってもいい。
その河野さんが今、目指しているのが若手の育成だ。
現在、店を任せているスタッフの平均年齢は24〜25歳、うち3人が付け場に立ち鮨を握る。
そのひとり、和田 翔さん27歳はこう語る。
「立ち食い鮨『ブルペン』で、しっかりと場数を踏んで握ったことがいい勉強になりました」
“ゲストに楽しんでもらいたい”その一心を直球に感じるから人は何度でも通いたくなる
握りと肴を交互に出すスタイルは以前のままで、名物「イカうにの握り」や華やかな「りんだ巻き」は、もちろん健在。
特別に供される名物「りんだ巻き」は見た目も味もインパクト抜群
名物のひとつ「りんだ巻き」は別注で、値段は時期やネタにより異なる。
「やま幸」の本まぐろを惜しげもなく巻き込む。部位は中落ち、赤身、大トロ、蛇腹の炙りをメインに、アサツキと大葉、たくあんも入る。
カットした後、溢れんばかりのうにと自家製いくらをトッピングした逸品だ。
◆
ハラリと解ける鮨飯も不動の美味さだ。
その一方、料理を出す順序などは三人三様であり、訪れる度に新たな発見があるはず。
スタッフは、週に1、2度、河野さんと豊洲に赴き、店の様子を伝えるとともにアドバイスを受けているが、基本的に、氏は現場に顔を出さない。
親方不在という独特のシチュエーションが生み出す不思議な連帯感と若いエネルギー。これこそが今節の〝りんだ〞の魅力であり、新しい鮨店の在り方を標榜している。
【名店たちの新たな展望とは?】
目黒界隈に姉妹店やキッチンカーを展開
武蔵小山『ブルペン』をはじめ、目黒界隈に3店舗を展開。
さらに、前代未聞の鮨のキッチンカーを作り、不定期で「林試の森公園」他で鮨を提供中。詳しくはインスタにて。
■店舗概要
店名:鮨 りんだ
住所:目黒区下目黒2-24-12 イメージスタジオ109 1F
TEL:03-6420-3343
営業時間:ランチ 11:30~14:00
ディナー 18:00~21:00
定休日:日曜、月曜
席数:カウンター16席
◆
焼き鳥、タイ料理、鮨の名店3軒。それぞれのこだわりや名物は、ゲストの心と胃袋を掴む。
目黒の名店には、わざわざ訪れる魅力があった。
※コロナ禍の状況につき、来店の際には店舗へお問い合わせください。
今月の『東京カレンダー』は「目黒」特集。東京に親しんだ大人が向かうべき目黒の人気店を押さえれば、日常のディナーはより充実する!
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※東京カレンダーは毎月21日頃の発売です。今号は4/21(金)から。
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