この春は銘酒を片手にほろ酔い旅!日本酒好きが今もっとも注目するエリアとは…?
世情も徐々に落ち着きを取り戻し、暖かくなってきたこの時季は、どこかに旅に出たい気分。
そこで、この春おすすめしたいのが広島県。
今年の5月に開催される「G7広島サミット」の会場として選出され、今もっとも盛り上がりを見せているエリアだ。
実は、数ある日本酒産地の中でも名立たる酒蔵がひしめく、日本酒の激戦区でもある。
この「広島酒」を語る上で外せない酒どころが、吟醸酒づくりの礎の地と呼ばれる「安芸津(あきつ)」。
その理由とは…?
日本酒のプロを迎え、広島・安芸津で鼎談がスタート
広島県・安芸津は、優れた杜氏を輩出してきた「杜氏の里」と呼ばれる酒どころ。
そこで今回、東京カレンダーのオリジナルドラマ『港区おじさん』に出演してくれた女優・緑川静香さんと、広島の日本酒の魅力を探るべく安芸津へ。
唎酒師の資格を保有するほど、大の日本酒好きだという緑川さんと、日本酒のプロ2人とで「広島の日本酒」について語り合ってもらった。
鼎談のためにお迎えしたのは、数々のメディアや全国のつくり手から注目を浴びる『今田酒造本店』の今田美穂さんと、広島の老舗精米機メーカー『サタケ』の大橋奈央さんだ。
百年以上の歴史を持つ今田酒造本店で、広島・安芸津の魅力に迫る!
本格的な鼎談に入る前に、今回の舞台となる『今田酒造本店』について説明しよう。
穏やかで風光明媚な瀬戸内の小さな港町、安芸津。
その港から5分ほど歩いたところに醸造所を構えるのが、『今田酒造本店』だ。
フラッグシップとなるのは、広島酒らしいふくよかなうまみとキレをもたらす「富久長(ふくちょう)」。
「百試千改」をモットーに、これまでの技術に甘んずることなく革新を追い求める女性杜氏・今田美穂氏が率いる、広島を代表する酒造だ。
緑川:「杜氏の里」と呼ばれている安芸津に来ることができて、感激しています。今日はよろしくお願いします。
今田:こちらこそ、お願いします。安芸津は、いいところでしょう?
緑川:はい、とても穏やかで、瀬戸内海の眺めもすばらしいですね。
今田:まさにこの気候と瀬戸内海、この2つが広島独自の吟醸酒を生み出すベースとなっているんですよ。
緑川:え?どういうことですか?
今田:瀬戸内海に面している広島は、年間を通して海の幸が獲れ、温暖で安定した気候のため野菜や果物も良く育ちます。新鮮な食材が常に手に入るので、素材の繊細な旨味を生かした料理が多い。そこで、その旨味に寄り添うような日本酒づくりをするようになったんです。
緑川:なるほど。繊細な味を邪魔しない、味わいや香りを追求するようになったんですね。
今田:その通りです。そこに挑んだのが、安芸津生まれで「吟醸酒の父」とも呼ばれる三浦仙三郎氏。彼は、日本酒づくりに向かないと言われてきた、軟水での醸造法を確立しました。
麴をしっかり育て、醪(もろみ)を低温でゆっくり発酵させる酒づくりの技術を編み出したんです。そのため、ここ安芸津は「吟醸酒づくりの礎の地」と呼ばれています。
大橋:そして、そんな三浦氏が築き上げた吟醸酒に革命をもたらしたのが、サタケの技術なんです。
緑川:その辺り、詳しく教えてください!