2023.01.19
柳 忠之のこの12本におまかせ Vol.26毎月1本づつ、自宅で購入して楽しめるワインをご紹介してきたこの連載。
今回は肉料理にぴったりと合う、フランスの赤ワインをピックアップ。
おうち焼肉にも大活躍な、渋みがクセになる大人の1本はこちら!
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専門誌からライフスタイル誌まで、幅広い分野の雑誌で執筆を手掛け、切れ味あるコメントに定評があるワインジャーナリスト・柳 忠之氏。
柳氏が東京カレンダーでワイン連載の担当となって5年目。ワインの勉強に日々奔走する編集・嵩倉の質問に、いつも親身になって答えてくれる。
フランス南西地方はマイナー地品種の宝庫
柳「クラリ〜ン(担当編集の嵩倉)。先月号で24本目を紹介して、シリーズの第二章もこれにて終了の予定だったけど、もう1本紹介すべきワインが残ってました〜。」
――きゃ〜、それは大変。その柳さんがどうしても追加したいワインとは?
柳「タナという品種から造られたシュッド・ウエスト地方のワインで「シャトー・ブースカッセ」。」
――タナ?シュッド・ウエスト?どちらも初めて聞く品種名に産地名です。
柳「まず産地から説明すると、シュッド・ウエストはフランス語で「南西」という意味。
その名のとおり、フランス南西地方のことを指し、ベルジュラック、イルーレギー、マディランなどさまざまな産地呼称がある。シャトー・ブースカッセはマディランのワインだ。」
南西フランスのタナ
「Château Bouscassé Vieilles Vignes 2015(シャトー・ブースカッセ ヴィエイユ・ヴィーニュ2015)」
ブリュモン家が代々受け継ぐマディランのワイナリーが「シャトー・ブースカッセ」。
50ヘクタールのブドウ畑を持ち、このヴィエイユ・ヴィーニュはタナ100%、樹齢50~100年の古木から造られる。姉妹ワイナリーの「シャトー・モンテュス」もすこぶる秀逸。
6,700円/三国ワイン https://www.mikuniwine.co.jp/
◆
――これまた何かの呪文みたいな聞き慣れない名前ですね。タリラリランのコニャニャ……。
柳「それは天才バカボン。シュッド・ウエストには地品種も豊富にあり、一説によればその数120。」
――ひゃくにじゅう!柳さんはすべて空で言えるんですか?
柳「フェール・サルヴァドゥ、レン・ド・レル、ネグレット、バロック、プティ・クルビュ、グロ・マンサン、プティ・マンサン……。」
――いや、もう結構です。その中にタナという品種もあるわけですね。
柳「そういうこと。これまた一説によれば、タナという品種名は、渋み成分のタンニンに由来するともいわれている。」
――……ってことは、ワインは渋い。
柳「うん、渋い。」
――きゃ〜。最近はナチュール中心のゆるいワインばかり飲んでるので、嵩倉の舌は渋味への耐性がめっきり減ってます。
柳「心配ご無用。このシャトー・ブースカッセというワインを造っているアラン・ブリュモン氏は、タナのスペシャリスト。
タンニンが丸くなるまでブドウを完熟させ、しかも渋みが強く出ないように優しく抽出するから、本来ならガスコーニュ生まれのダルタニャンのように粗野なワインが、三銃士のアラミスみたいにスタイリッシュだ。」
――ほぉ〜(わかったふり)。では、飲んでみましょう。ふむふむ、パワフルな赤ワインですが、ガツンとくるような渋味ではないですね。噛めば噛むほど味が滲み出る、上質の赤身牛肉が食べたくなる感じ。
遠く離れた南米ウルグアイにも
タナはウルグアイのメジャー品種。温暖な気候ゆえよりまろやか。
「ボデガ・ガルソン・タナ・レセルバ」2,680円/ヴィノスやまざき TEL:0120-740-790
◆
柳「じゃあ、これからこのワイン持って、焼肉喰らいに行こうか。」
――もちろん、柳さんのおごりですよね?これぞ“タナ”からぼたもち。うふふ。
柳「おあとがよろしいようで。」
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