2023.02.13
遅咲きの彼女たち Vol.1とうとう結婚相談所に入会!
結局、母の後押しもあり、私は、結婚相談所への入会を決めた。
まず、担当コーディネーターとカウンセリングをするために恵比寿のオフィスを訪れた。
私の担当は高島さんという40代の女性で、話すテンポが速く、絵に描いたような“仲人おばさん”という印象だった。
希望の条件や価値観診断を元に、AIで適切な相手を選出するシステムだという。
「加奈子さんは、今年32歳。聖マリアンナ豊心女子大附属に小学校から入学して大学まで。現在は、大手企業のSEをしていらっしゃるのね。趣味はドライブで…」
高島さんは、私の入力した経歴を読み上げる。
そして、私は、結婚相手に求める理想の条件を高島さんに伝えた。
年収800万が最低条件で、学歴は早慶以上。東京都在住で、長男ではないことなどが条件だ。
― 本当は、年収1,000万以上がいいんだけど、高望みって言われそうだし…。
◆
入会して3ヶ月。
せっかくお金を払っているんだからと、紹介された人には毎週会ってみた。
しかし、これまであまり異性とのデートをしてこなかった私は、すぐに婚活疲れに陥った。
毎週のように違う男性と会い、かしこまった場で時間を過ごすことは想像以上に疲れるし、一緒にいて楽しいと思える人でないと、その時間はかなり苦痛だ。
「高島さん、今回の方もお断りで…」
デートを終え、帰り道に高島さんに電話を入れる。
「加奈子さん、週1のペースでお会いして、もう3ヶ月。少しでもいいなと思った方がいたら、積極的に次のデートに繋げた方がいいと思いますよ?」
高島さんの言うことも正しい。が、本当に、また会いたいと思う人がひとりもいないのだ。
結婚相談所は2回目のデートに進むと、仮交際というステータスとなる。
― 仮とはいえ、“交際”って表現がつくとハードルが高いのよ…。
「仮交際は同時に3人までしかできないんですよね?そしたら、あんまり妥協して選びたくないし、この人!って思える人と…」
「毎回加奈子さんからお断りして、いいなと思ったら確実に進められると思っていらっしゃるようですけど、逆に男性側からお断りが入ってることだってたくさんあるんですよ」
「そうなんですか…?」
「加奈子さんの希望に沿う好条件の男性がまずそんなに多くありません。
あなたがいいなと思っても、好条件ですと他の女性ともたくさん会っているでしょうし、もっと貪欲にしないと」
自分優位に考えていたが、自分が断った相手であろうと、相手からもお断りされていたという事実を知るのはショックだ。
― そうよね。私が男性を選んでいるように、男性だって比較しながらよりいい女性をと思うわよね…。
「加奈子さん。今回入会を決めるのだって、勇気が必要だったはずです。
だから、あなたの結婚したいという思いを、私は叶えたいと思っているからこそ、正直にお伝えしているのですよ」
「そうですよね…」
「本当に結婚がしたいなら、会った中から選びなさい」
それはまるで、妥協して相手を決めろとでもいうような言葉だった。
ここは好きな人と恋愛をする場ではなく、お互いの条件が合った人と効率的に出会い、結婚をすることがゴールの場所なのだ。
私は、結婚相談所に入ればすぐにいい人と結婚できると思っていたけれど、現実は全然違う。
相談所に入会したことによって、私は、女としての自信を失いつつあった。
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ついに加奈子にいい出会いが…?そして、そこに立ちはだかる結婚相談所の鉄の掟とは…
この条件にマッチする男性と週一ペースで3ヶ月も会えてたのもすごいけど、全てお断りって.....。東カレ小説に出てくる相談所担当者は結構意地悪なのに高島さんはいい人過ぎ🥺
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