空前のゴルフブームが到来している今、ゴルフは男女の出会いの場としても有効だ。
30歳を目前に、いい出会いがなく焦りを感じていた森脇那月(29)も、ゴルフを始めたが…。
東京のゴルフコミュニティーに、ヒエラルキーが存在することを知る。
同じ思惑を抱く女性たちが集うこのコミュニティーで、那月は最後まで勝ち抜き、理想の男性を捕まえることはできるのか―。
Vol.1 出会いはゴルフ場にあり
「…で、那月は、最近どう?」
仕事終わり、新宿御苑のステーキ店『ナスキロ』で1杯目のシャンパンを飲み終えたころ、前職の同期で広告代理店に勤める麻由子が尋ねてきた。
同世代の友人と食事に行くと、この言葉が“ここからが本題”の合図だ。
「そうねぇ、社内でちょっといいなと思ってた人がいたんだけど、脈ナシ」
進展があるような話でもないので、私は簡潔に伝える。
「それはもう次いこう!」
麻由子は青学に初等部から入りエスカレーターで進学し、大学時代はゴルフ部に所属していた、超体育会系女子。“自称サバサバ女子”ではなく、本当にサバサバしている。
思ったことをはっきり言ってくれるので、恋愛で迷ったときに心強い存在だ。
「私も麻由子も、今年で30歳だよ?この年で彼氏なしって…正直、結構焦ってるんだけど…」
「焦ったって仕方ないよ。私たち、それなりに美人だし、ちゃんと稼いで自立してるし、一生独身なことなんてないから大丈夫」
あっけらかんとそう言う麻由子も、しばらく彼氏はいない。
「那月、ちゃんと出会いの場行ってる?食事会とかないの?」
「たまにあるけど、いい人いない」
「ちゃんと時間をかけてその人のことを知っていかないと、恋愛に進まないタイプだもんね…。ゴルフとかどう?」
「ゴルフ…?」
「最近結構多いのよ。お互い友達を連れて、男女数人ずつ集まってラウンドするっていうの。
新しい出会いもあるし、一緒にコース回る間にたくさんコミュニケーション取れるから、恋愛に発展するかもしれないよ?」
― ゴルフでの出会い…そんなの考えたこともなかった…。
「私、ゴルフなんて1シーズンに1回行くか行かないかくらいだよ。いきなり、ラウンドして迷惑かけないかな?」
「スコアどのくらい?」
「110くらい」
「十分!教えてあげたいって男性も多いし、私みたいに80台とかで回る方が可愛げないから!」
私の不安をよそに、早速麻由子はゴルフメンバーと連絡を取り始めた。
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