3.麻布十番の鮨店で“ハズしの美学”を感じる握りに出合う
『秦野よしき』
王道を知るからこそできる“ハズしの美学”
ビルの地下二階に潜む、趣のある店内。
知らなければ通り過ぎてしまうような引き戸の先に、清潔感のある凛とした個室が現れる。
『秦野よしき』で食べる店主の創意性ある鮨に、心奪われる。
重厚な雰囲気が、ふたりの雰囲気を盛り上げる
麻布十番の静かなエリアの地下2階、派手な看板もなくひっそりと隠れた人気鮨店『秦野よしき』。
店内の白木のカウンターには独特の凛とした空気が流れるが、こちらはそのカウンターの延長線上に仕切られた個室というロケーションがいい。
若手が握ることを前提に作った空間だったが、最近は店主の秦野さんが立つ場面も増えてきたという。
見た目を裏切る味わいが、本質を知る大人に刺さる!
秦野さんは江戸前の仕事をきっちり学んだが、自身の店ではさらなる進化を目指した。
その最大のテーマが脂と酸の融合だ。「魚の脂と酢飯の酸をどう溶け合わせるかが焦点です」という。
そこから生まれた、伝統的な仕事とは一線を画す握りに対しては、自ら“邪道”と表現する。揚げ茄子やあんこの握りはその一例だ。
脂で揚げることでコクの出た茄子と酢飯の酸味のマリアージュを楽しむ「揚げ茄子の握り」。
正統派の白木のカウンターに、クリエイティブな握りが登場するその面白さこそ新鮮な体験といえるだろう。
壁の向こうにメインカウンターの熱気を感じつつ、誰にも邪魔されない個室で過ごす時間が、ふたりにとって特別な時間になるはずだ。
もちろん王道ネタも見逃せない!
江戸前の王道の握りはもちろん健在。
「キンキのしゃぶしゃぶ 自家製ポン酢添え」はサッと火を入れることで、脂がのったキンキの旨みや甘みをうまく引き出している。
境港で水揚げされたまぐろの「大トロ」。美しく包丁を入れた仕事が色気を放つ。
家庭科教諭の母に影響されて料理の道を目指す。都内の老舗鮨店で修業した後に、海外でも経験を積み、グローバルな視点を身に付けた。
元々剣道と柔道をやっていたこともあり、筋トレ好き。
日本の季節の移ろいを旬の果実と花で伝える
重厚な雰囲気のカウンターに映える、旬の美味しさや四季の美しさを表現したカクテル。
液体窒素や金粉を駆使するパフォーマンスは、まさに圧巻。
◆
人目を気にすることなく、ゆっくりできる個室鮨。
そこに極上の鮨があれば、恋人との最高の夜が約束されるはず。
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