2022.06.21
SPECIAL TALK Vol.93
世の中を良くするためのプラットフォーム作りに邁進
金丸:私が起業したのは1989年。堀さんは1992年。まだバブルの余韻がある時代に、大企業を辞めて自分で事業を始めるなんて、周りの人には理解されなかったでしょう?
堀:当時は、スタートアップやベンチャーなんて言葉を聞くことすらなかったですからね。
金丸:グロービスの事業が軌道に乗るまでに、どのくらいかかりましたか?
堀:毎年利益は出ていましたが、しっかりとした基盤が出来上がったのは2000年なので、8年かかりましたね。96年にはベンチャーキャピタルを始めたけど、これもみんなから反対されました。
金丸:時代の最先端を突っ走っているからこそ、理解されないのは当然と言えば当然です。だけど、その後もどんどん新しいことにチャレンジされている。堀さんの行動力の源泉って、いったいどこにあるんでしょう?例えば、各界の次世代リーダーが集まって、日本の未来について議論する「G1サミット」は、どのような発想から生まれたのですか?
堀:世の中を良くするための枠組みを作りたい、と考え抜いて出来上がったのが、G1サミットです。参考にしたのは、世の中を変えたいという機運が高まった明治維新、ロシア革命、フランス革命の時代に、人びとを動かしたものは何か。いろいろ調べたところ、そこには「リーダー」「スローガン・思想」「力」という3つの共通する要因がありました。
金丸:スローガンというと、明治維新なら「尊皇攘夷」ですかね。
堀:ロシア革命なら「マルクス・レーニン思想」だし、フランス革命なら「啓蒙思想」。「力」は昔なら武器だけど、今の時代はコミュニケーションですよね。そこに「若きリーダー」がそろえば国を動かす基盤になるかもしれないと思い、まずは今後の活躍が期待される若手リーダーたちに集まってもらうプラットフォームとして、2008年に立ち上げました。
金丸:日本のさまざまな課題を自由に議論し、積極的に提案して行動されている。堀さんが世の中を良くしたいとか、リーダーを育てたいと思うようになったのは、何がきっかけだったのでしょう?
堀:2004年に初めてダボス会議に呼ばれ、その後も続けて参加しているうちに、日本の存在感がものすごく低下しているのを感じたのがきっかけです。僕がグロービスで行っている人材育成や産業創出は、結果が出るまでに時間がかかります。「これじゃ間に合わない」と危機感を覚えたし、僕自身も積極的に発信しなきゃいけないと。だから、ダボス会議でもどんどん発言するようにしています。
金丸:堀さん自身が行動するだけでなく、次々とリーダーが育ち、彼らもまた行動し、発言している。理想的な流れができていますよね。
堀:すごく嬉しいですね。だけど僕自身は、新しいことに挑戦しようとするときすごく悩むんですよ。何事もやり始めたら全力投球しないと気が済まないたちなので、中途半端にはできない。そうなると、体力も時間もものすごく使うわけで。
金丸:なるほど。硬派とか親分肌とかではなく、「全力投球」という言葉こそ堀さんにぴったりですね。ところで故郷の水戸では、地域創生の活動もされているとか。
堀:「水戸ど真ん中再生プロジェクト」ですね。これも始めるときは相当悩みました。
金丸:悩んだけど、やっちゃう。熱いですね。堀さんが今、力を入れていることは何ですか?
堀:今の活動の柱は3つ。社会の創造と変革を担うグロービス。日本を良くするためのプラットフォームであるG1とKIBOW、そして僕の故郷である水戸・茨城を元気にするための活動です。
金丸:その一環として、音楽フェスがあるんですね。
堀:都道府県魅力度ランキングってご存知ですよね。茨城県は毎年最下位争いをしているけど、これまでは「茨城にはロッキンジャパンがあるぞ!」と胸を張って言えました。だから「ロック・イン・ジャパン・フェスティバル」がひたち海浜公園から千葉に移るというニュースは、県民にとって衝撃で。このまま何もしないで寂しく夏を過ごすか、あるいは立ち上がるかとなると、起業家だったら立ち上がるしかないですよ。
金丸:さすがです!
堀:ひょっとしたら、これまで関わった事業の中で一番大変かもしれません。でも、ゼロからすべて自分で作り上げていくのは好きなので。
金丸:堀さんのような方が活躍してくれているからこそ、日本もまだ捨てたもんじゃないと希望が持てます。
堀:いろいろなことを言う人はいるけど、日本は政治的にも経済的にも社会的にも安定しています。だからこそさまざまな問題を先送りすることなく僕らの世代で解決し、誇りある国を次の世代に引き継ぎたい。仲間とともに日本のより良い未来を創っていきたいと思っています。
金丸:堀さんのもとで交流した各界のリーダーたちが、今後ますます活躍されることを期待しています。それにしても今の堀さんがあるのは、理解のない人事部のお陰だったというのが面白いですね。
堀:そうですね。理解のある人事部だったら、僕が今フェスをやるような未来はなかったですね(笑)。
金丸:まずはフェスの成功を祈っています。そしてこれからも全力投球で取り組む姿をとおして、みんなを勇気づけてください。今日はお忙しいところ、本当にありがとうございました。
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