2022.06.21
SPECIAL TALK Vol.93
留学から帰って総合商社を飛び出すまで
金丸:帰国後、住友商事に戻られてからはどうでしたか?
堀:実は1年と1ヶ月で退職し、その後はグロービスに専念しました。
金丸:あの、辞めるときにいろいろ言われませんでした?会社のお金で留学したのにもう辞めるのか、とか。
堀:まあ、そうですね。留学費用を出してくれたのは会社なので、留学中に考えた事業計画を会社に提出したんです。
金丸:それがグロービスのもとになるアイデアだったんですね。
堀:はい。ちょうどその頃、住友商事は「総合商社から総合事業会社へ」というスローガンを掲げていて、グロービスのような学校事業はマッチするはずだと思って提案しました。
金丸:そうなんですね。そもそもグロービスのようなビジネスモデルは、ハーバードでの経験が素晴らしかったからこそ生まれたのでしょうか?
堀:もちろんです。過ごした期間は短いですが、ケースメソッドで徹底的に鍛えられたおかげで、学生時代や社会人のどの時期よりも自分の能力が劇的にアップしたのを実感しました。しかも南場さんや新浪さん、三木谷さんのような人たちとの人的ネットワークもできます。「この素晴らしい仕組みを日本に持ってきたい」と思ったし、都心のど真ん中に学校を作って夜間と土日に開講すれば、多くの人が自身の糧となる学びの機会を得られると思ったんです。
金丸:実際、その読みが当たっていたから、グロービスは大きく成長した。でも住友商事がグロービスをやらなかったということは、どこかで却下されたわけですよね。
堀:まず僕が所属していたプラント事業部からは、「プラント事業と学校事業はまったく合わない」と言われました。
金丸:それはそうかもしれません。
堀:僕も納得したので、次に新規事業企画室に話を持っていったら「うちの会社にそういう事業提案制度はない」と。
金丸:せっかく若手社員が新規事業のアイデアを持ってきてくれたのにもったいないですね。
堀:それで、ある本部長に相談したところ、「住友商事の社員のまま、グロービスもやったらいいじゃないか」とアドバイスをくださって。「副業として不動産事業や投資をやっている人もいるし、学校事業と住友商事はパイを食い合うわけじゃないから問題はない。ただし、社内規定はちゃんと守ってね」と。
金丸:なかなか度量のある方ですね。
堀:そうなんですよ。その後、副業としてやり始めたんですけど、グロービスが注目され始め、記事で取り上げられるようになると、「これ、プラントの堀だろ。何やってんだあいつ」って、社内の一部が騒がしくなり。
金丸:規定は守っていたのに?
堀:もちろん報告すべきことは全部報告していたし、グロービスに時間を割かなきゃいけないときは有給休暇を取っていました。やましいことは何もない。だけど、いよいよ両立が難しくなってきたので、また本部長に相談すると、「住友商事がグロービスに出資して、君が出向するかたちにしたらいいんじゃないか」と。
金丸:素晴らしい。いい落としどころじゃないですか。
堀:でしょ。ところが、人事部にこの話をしたところ、「言語道断。前例がない」って却下されたんです。しかも人事部長が僕の目の前で、アドバイスをくれた本部長に電話をかけて、「おたくの堀が来てるけど、そんなことできるわけないじゃないか」と。
金丸:最悪ですね。日本企業の悪い慣習が堀さんの挑戦を邪魔しただけでなく、住友商事にとって成長の機会まで奪ってしまった。
堀:まあ90年代初頭ですから、そういう価値観なのも仕方ないですよ。当時、僕には「グロービスの事業をやめる」という選択肢はなかった。だったら住友商事を辞めるしかないということで、忘れもしない1992年7月31日に退職して、翌8月1日からグロービスに専念することにしました。資本金は80万円、本社は三軒茶屋のアパート。たったひとりのスタートでした。
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