2022.06.21
SPECIAL TALK Vol.93
水泳、留学、大学進学。掲げた目標はすべて達成
金丸:高校はどちらに進学されたのですか?
堀:県立水戸第一高等学校です。
金丸:バリバリの進学校ですよね。高校でも水泳は続けたのですか?
堀:はい。水泳をやりながら、もちろん勉強もちゃんとやって。水泳の練習の後は疲れてご飯を食べて寝るだけなのは分かっていたので、宿題は全部学校で終わらせるようにしていました。
金丸:すごいですね。「水泳で疲れたから、宿題なんかやってられない」じゃなく、「疲れるのを見越して、宿題を終わらせる方法を考える」とは。高校生の頃から課題解決力が高い(笑)。学校生活はどうでしたか?
堀:高校では3つの目標を立てました。水泳で全国6位になること、留学すること、そして東大か京大に入学することです。
金丸:3つともとなると、かなりハードルが高そうですが。
堀:まず水泳は、1年のときに平泳ぎから個人メドレーに転向しました。
金丸:メドレーって、またハードな種目に。
堀:バタフライ、背泳ぎ、平泳ぎ、自由形を全部なのですごい大変でしたよ(笑)。でも、1年生で国体に出場して6位になって。
金丸:えっ!?さらっと言うけど、すご過ぎませんか(笑)。
堀:それで自分なりに満足して、次の目標である留学に。2年生を終えてから1年間、交換留学生としてオーストラリアで過ごしました。
金丸:多感な時期ですから、大きな影響を受けたのでは?
堀:まず英語ができるようになったし、国際的な視野を身につけることができましたね。でも何よりオーストラリアのライフスタイルに触れたことが、一番大きかったです。とにかく彼らはいつでも「イージーゴーイング」なんですよ。
金丸:深く考えない、くよくよしない、気楽に人生を楽しむ、ということですね。
堀:僕はそれにすっごく共感して。だから帰国したときには、地元の茨城大学に行って、地元の高校の先生にでもなって、サーフィンのできる海の近くで暮らすのもいいんじゃないかな、と思うようになっていました。
金丸:めちゃくちゃ影響されましたね(笑)。
堀:それを父に話したところ、「クリエイティブな生き方をした方がいいよ」と父が言ったんです。
金丸:「クリエイティブな生き方」ですか?
堀:普段は何も言わない父が発した一言だったから、僕はまた考えてしまって。もちろん、高校の先生もクリエイティブだとは思いますが。
金丸:それで改めて京大進学を目指したんですね。
堀:でも受験勉強を始めたのが遅かったんですよ。学園祭の実行委員長みたいなことをやっていて、3年生の9月末まではそちらにかかりっきりだったので、10月から必死に勉強しました。しかも、そのタイミングで文系から理系に転向し。
金丸:よくもまあ、そんな無茶をしましたね(笑)。文転する話はよく聞きますけど、文系から理系に、しかも受験まで半年を切った時期に転向するなんて聞いたことがありません。
堀:僕もないです(笑)。物理、化学、数学ⅢCを猛勉強して、京都大学工学部に合格することができました。
大学時代に培った社交性をハーバード留学中にも発揮
堀:それで京大工学部に進んだものの、研究がまったく面白いと思えず。
金丸:理系にとっては致命的ですね。
堀:だから大学時代は結構遊びました。で、気づいたんです。僕は研究に没頭するよりも、人が好きなんだなと。
金丸:私はこれまで起業家としての堀さんしか知らなかったので、遊んでいたなんてすごく意外で。
堀:学生時代、アルバイトで月に70万円くらい稼いでいた時期があるんですよ。
金丸:70万!?何をしていたんですか?
堀:もう還暦を過ぎたので解禁にしますけど、実はモデルをやっていたんです。
金丸:ええーっ!
堀:雑誌『MEN'S CLUB』の専属モデル。表紙にも3回くらい載りました。
金丸:本当ですか!?初めて聞きましたよ。
堀:だって、これまで誰にも言ってないから(笑)。大学3年生のとき、『MEN'S CLUB』の30周年記念オーディションに応募したら受かっちゃって。東京の事務所にスカウトされ、せっかくだから1年間やってみようと。
金丸:これまでの話だと、大学でも水泳部かと思いました。
堀:それは合ってます。最初は体育会の水泳部に入ったし、水球では関西インター・カレッジ大会で優勝も経験しました。ただ、「このまま水泳だけやるのもな」と思い始めて、ちょっと違うことをしてみようとやった結果が、モデルです。「モデルをやってた」なんて言ったら、「こいつ、自分を格好いいと勘違いしてる」って思われるだけじゃないですか。だからずっと黙ってました(笑)。
金丸:堀さんが学生の頃って、バブル全盛期ですよね?
堀:真っ盛りです。夜はディスコに繰り出して、週4、5日は六本木で遊んでましたね。モデルとして接した世界に影響されて、広告代理店に就職したいと思っていた時期もありました。
金丸:実際はどちらに就職されたんですか?
堀:住友商事です。プラント輸出を担当する部署に配属されました。
金丸:当時の花形部署でしょう。めちゃくちゃキラキラした社会人生活のスタートじゃないですか(笑)。
堀:東南アジア向けに、ひとつ話がまとまれば1,000億や2,000億という商売でしたから。アンダーザテーブルも含めて、これまで自分が見たことのない世界。すごく面白かったですね。
金丸:その住友商事時代に、ハーバードでMBAを取得されたんですよね。
堀:はい。入社4年目に社内留学生制度を利用して留学しました。
金丸:MBA取得って、大変だったんじゃないですか?
堀:僕の前にひとり、住友商事からハーバードに留学していますが、卒業できなかったそうです。
金丸:やっぱり難しい。今、日本で活躍している経営者の中には、堀さんと同じ時期にハーバードで学んだ人が少なくないですよね。
堀:僕の前にはDeNAの南場智子さん、後には楽天の三木谷浩史さんがいて、サントリーの新浪剛史さんとは同期でした。しかも隣の部屋に住んでいましたよ。
金丸:そんな偶然があるんですね。
堀:あるんですよ。僕が706号室で、新浪さんが707号室。僕が部屋に友人を招いて騒いでいたら、隣からドンドンドンと壁を叩かれて、「うるせえ」って。
金丸:怒られた(笑)。
堀:まさかボストンで叱られるとは思いませんでしたよ。僕が100%悪いので、それ以来新浪さんには頭が上がりません(笑)。
金丸:しかし、勉強が大変なハーバードでもパーティって、堀さん、体力ありますね(笑)。
堀:僕は軟派ですから。
金丸:てっきり真面目な硬派だとばかり(笑)。
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