現代の“教育・お受験”リアルドキュメント Vol.5

地方に移住したエリート家族の苦難。国立から公立小に転校した長男が漏らした本音とは

とにかく都会の窮屈な生活から抜け出したい。子どもにとっても、外で伸び伸びと遊べる方が健康的。

そんなことを考えて、地方移住に憧れを抱く人は少なくないだろう。

だが都会生活に染まりきった家族が、いきなり田舎へ引っ越したとして、そんなにうまくいくものだろうか?

子どもの転校に伴う、教育環境や友人関係の変化。習い事はどうするのか…など、家族に降りかかる問題はたくさんあるはずだ。

今回は「伸び伸びと子育てしたいから地方移住」をした稼ぎ人にスポットを当てた。

前回の記事はこちらから【“進学校VS附属校”中学お受験白書!】家族の葛藤と過酷な受験勉強をどう乗り越えたのか?


▽INDEX
1.地方移住希望者は、年々増加している!?

2.都内から引っ越すことを決めた理由

3.地方移住先で起きた、まさかの出来事とは?

4.トラブルに対処しながらも、藤堂さん一家が得たものとは…


休日には子どもと一緒に渓流で魚釣りを楽しみ、晴れ渡る青空を見上げながら野鳥の声に耳を澄まそう。

昼食は自宅の庭で、家族一緒にBBQだ。

手作りのブランコで無邪気に遊ぶ子どもを眺めながら、腰掛けるウッドチェアの傍には自家製の石窯があり、庭で育てた無農薬の野菜をのせたピザが熱を帯びていく。

ゆっくりと、じっくりと。

そんな暮らしに憧れて、地方移住を決めたのは藤堂恵美子さん(仮名、45歳)一家だ。

恵美子さんは、かつてメガバンクに勤めていたが夫との結婚を機に退職し、専業主婦となる。

移住前は神奈川県横浜市の高級低層マンションに住み、夫は企業弁護士として年収2,000万円以上を稼ぐヤリ手だった。

11歳の長男は神奈川県内にある国立小学校に通い、5歳の長女も幼稚園に通わせながら小学校受験に備えていたという。

一見、順風満帆かのように思える生活ぶりだが、何が藤堂さん一家を移住へと駆り立てたのだろうか。


地方移住希望者は、年々増加している!?


地方移住希望者の相談窓口として知られる「ふるさと回帰支援センター」への来訪者・問い合わせ数の推移をみると、2009年時に5,000件に満たなかったものが、2019年時には約5万件にまで増えている。

ここ10年で地方移住への関心は急速に高まっているわけだが、そこに更に拍車をかけたのがコロナ禍だ。

国土交通省の調査によると、2020年4月時点のU・Iターンや地方での転職希望数が同年2月時点と比較して14.3ポイントも増加している。

2020年8月には東京都の人口が減少局面に入ったことでも話題になった。

これまで転入者数が常に転出者数を上回っていた状態が逆転し、転出者数が転入者数を4,514人上回り、同年7月に続き2ヶ月連続で転出超過になったのだ。

その転出先をみると、神奈川県、埼玉県、千葉県といった東京近隣への動きが多く、とくに20代、30代の転出超過が目立った。


こうした移住の流れは東京だけにとどまらない。

移住の動きは全国的に活発になっており、これまで転出先に挙がらなかったような町村にまで、注目が集まっているのだ。

「住民基本台帳人口移動報告」における2020年時の転入超過数が多い町村、上位10位に目を向けると、長野県軽井沢町や茨城県阿見町、熊本県菊陽町といった自治体名が挙がる。


このうち茨城県阿見町、埼玉県滑川町以外は、これまで転入超過数が多い上位10位に名前が挙がっていなかったような町村だった。

こうした地方移住の過渡期に、実際に移住を果たした藤堂さん一家の話を紹介しよう。


この記事へのコメント

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No Name
地方は村社会。同調圧力も強いし、子供の個性は尊重されない。バカになりきらないと暮らしていけないところですよ。
2022/01/19 21:2718返信1件
No Name
なかなか考えさせられる話でした
2022/01/19 05:3412返信2件
No Name
息子さんのセリフにちょっとウルッときました😂いいこと言うわ〜
2022/01/19 08:119返信3件
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