御曹司に恋はムズかしい Vol.1

御曹司に恋はムズかしい:「スーパーでは70円なのに」高級車所有でもコンビニは寄らない男の“価値観”とは

彼氏との出会いは、1ヶ月前にさかのぼる。

近所にある行きつけの定食屋で、私が日替わりランチをオーダーしたときのことだ。

「可愛いですね」

いきなり隣の席の男性が声をかけてきて、私はとても驚いてしまった。

普段なら無難にスルーするが、その男性の顔が元アイドルの有名YouTuberそっくりの顔立ちだったことに、目が釘付けになってしまったのだ。

― どうして、こんなかっこいい人が私に?

晴子の顔は一般的に整っている方である。しかし、その男性は疑心暗鬼になるほどに、レベルの違う“イケメン”だったのだ。

「俺、冬馬って名前です。よろしくね」

関西弁のイントネーションが板についていて、彼が関東の人でないことはすぐにわかった。その日は、軽い挨拶と連絡先の交換程度で、私が先に店を出ることに。

「晴子~。冬馬は難しいから気をつけなよ」

店を出るとき、店長が耳元でそっと忠告する。しかし、すでに一目惚れしていた私は、店長の言葉をすぐに忘れてしまったのだ。

突然のことで、連絡先を交換してもお誘いはないだろうと思っていたのだが、それは杞憂に過ぎなかった。冬馬はすぐにLINEで、ランチに誘ってきた。

私は有頂天となり、彼にすぐOKの返事をしたのだった。



冬馬から定食屋で声をかけられた翌週。銀座のフレンチで初デートをした。

「ごめんな、晴ちゃん。待たせて…」

そう言って、待ち合わせ時刻より5分ほど遅く来た冬馬。

私は、改めて彼の全身を見たが想像よりも背が低く、少しだけがっかりしてしまった。しかし、白いTシャツと黒いスキニー、そして真っ白なスニーカーがよく似合う。何より、イケメンであることは間違いなかった。

いざ話してみると、冬馬の話のテンポがとても心地よく、ノンアルコールだったが会話が大いに盛り上がった。

「晴ちゃんとおると、楽しいな!」

冬馬は方言の通り、関西の兵庫出身。男子高で伸び伸び育ち、大学はそのまま内部進学をしたらしい。

「趣味は音楽で、サックスが得意」

一般家庭出身の私は、音楽をたしなむには相応のお金が必要だと思っている。

そう話す冬馬を、“おぼっちゃま”だと推測した私の嗅覚は、間違っていなかったのだ。


冬馬は、家業を継ぐことを考えて、大学院に進学するタイミングで上京してきたと話した。見聞を広げるために東京で学び、そして働くことが彼の将来に必要だとご両親が判断したからだ。

私は、この話を聞いたとき“おぼっちゃま”の彼を、必ずモノにしたいと心の中で誓う。

しかし、意を決して狙いを定めた私とは対照的に、彼はデートの帰りにさらっと告白してくれた。

「晴ちゃん、早いと思うかもしれないけど、付き合おう」

こうして、私たちは付き合い始めたのだ。

そこからは、彼の親が所有している最低でも2億円はする分譲マンションの部屋で、週の半分を2人で過ごすことに。

冬馬はコンサル勤務で多忙だったが、機嫌が悪くなることも一切なく、育ちがいい人は穏やかだと感じる日々。

しかし、破局の予兆は私が思ったよりも早く来てしまったのだった。

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