2021.08.20
SPECIAL TALK Vol.83人がますます時間を持て余す未来でも、退屈しなくてすむ世界を
澤邊:僕は怪我したことで見える世界が変わったことを、今は強みだと感じています。僕自身がそれまで認識していなかった障害者の世界を知り、当然、幸せに生きている人もいっぱいいる。そういう視点を獲得できたのは、怪我があったからこそかなと。
金丸:今、「獲得」とおっしゃいましたが、こういう事故を経験してなお、「獲得」と言い切れる人は、そんなにいらっしゃらないと思います。だから、お話を聞いていると、簡単な言葉で言うのは、はばかられますが、運命のようなものを感じます。今後、経営者として会社をどうしていこうとお考えですか?
澤邊:そもそも「経営者として大成しよう」なんて思ったことは一度もなくて、「1円でもお金になるなら、こんなに幸せなことはない」という気持ちでスタートしました。今でもその気持ちは変わりません。ただ、起業して10年ほど経ったとき、「自分がやりたいことを、従業員にサポートしてもらっているだけなのでは?」と考えるようになり、そこからちょっと意識が変わりました。
金丸:事業を拡大していくときに、創業者がぶつかりがちな壁ですね。
澤邊:それで自分がいろいろ手を出して器用貧乏になるより、経営者に徹しようと切り替えました。単なるビジネスとして仕事を受けるだけでなく、目の前にある社会課題に対して自分や会社のアイデアで解決できるよう役に立ちたい、と本気で考えるようになりました。特にこの5年は、自分でも成長を感じています。
金丸:コロナ禍でリモートワークが普及するなど、テクノロジーという点で、今後も大きな変化が起こりそうですが。
澤邊:コロナ以前は当たり前だと感じていたことが、実は面倒だし手間だったことに気づいた、という人は多いはずです。毎日通勤しなくてもリモートで仕事は回せるし、そうした社会の変化に柔軟に対応できる企業が、この先は生き残っていくんでしょうね。
金丸:でもだからこそ、コロナ収束後は「実際に足を運ぶ」とか「実際に体験する」ことに価値を感じる人が、ますます増えるんじゃないでしょうか。
澤邊:そうなると、刺激的な経験を提供すべく、ますます僕たちの出番が増えますね。それに、退屈ってやっぱり嫌じゃないですか。僕は入院しているとき本当に退屈で、そのせいでネガティブなスイッチが入ってしまうことがよくありました。
金丸:明るい未来を想像できずに、無駄に未来を悲観してしまうわけですね。
澤邊:その状況をどうにかしたくて、いろいろ勉強をしたんですが、16世紀にパスカルという人が「人間は部屋でじっとできないから不幸を招く」と逆説的なことを言っています。貴族が退屈すると乗馬して怪我をするし、戦争を起こしてしまうと。では退屈しないために、人は何が必要かというと、「没頭すること」だと思うんです。
金丸:よくわかります。ここ数年、政府は働き方改革を進めてきましたが、それで余暇ができても、何もすることがなければ、ただ退屈な時間が増えるだけです。
澤邊:だから何かに興味を持って、没頭できる環境を作りだすしかない。「人間は没頭できることがないと腐っていく」。これは、僕が怪我して学んだ一番の気づきです。
金丸:AIが進化すれば、人間はますます暇になります。そのとき、心から楽しめるもの、我を忘れて没頭できるものがあるかどうか。それこそ歌舞伎のような昔からある伝統芸能にテクノロジーの力を加えたりすることで、新しい楽しみ方や価値が生まれるのではないかと思います。
澤邊:歌舞伎に限らず、日本にはまだまだ素晴らしい文化や伝統芸能がたくさんあります。地方に目をやると、魅力的な土地もたくさんありますからね。
金丸:そのとおりです。澤邊さんやワントゥーテンの力で、新しいものを生み出すとともに、これまで見向きもされなかったものや見過ごされていたものに、力を与えてほしいです。技術の進歩で効率を手に入れたわれわれ人類が没頭できる世界を、必ず作っていただけると期待しています。今日はお忙しいところ、本当にありがとうございました。
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