2021.08.20
SPECIAL TALK Vol.83東京生まれの奈良育ち、古墳にロマンを感じた少年時代
金丸:早速ですが、ご出身はどちらでしょう?
澤邊:生まれてから5歳までは東京にいましたが、そのあとは高校まで奈良、大学からは京都で、京都工芸繊維大学という国立大学に。なので、もう関西人ですね。
金丸:私は生まれたのが大阪の枚方市ですから、ご近所さんですね。澤邊さんはどんなお子さんだったのですか?
澤邊:勉強は嫌いでした(笑)。
金丸:私もです(笑)。学校に面白い先生がいなかったので。
澤邊:もちろん好きな先生もいましたけど、覚えるだけの勉強をさせる先生の授業は、退屈でしかなかったですね。
金丸:最近はYou Tuberの授業を見て勉強する子もいるそうですが、芸人のような人が算数や理科を教えたら、もっと勉強が好きになる子どもが増えるんじゃないかと思います。
澤邊:実は今、まさにそこに取り組んでいまして。感覚としては、ゲームなんだけど、いつの間にか勉強できているという。
金丸:それはいいですね。ところで、スポーツは何かされていましたか?
澤邊:小学2年生から中学3年生まで、少林寺拳法を頑張ってやってました。
金丸:何がきっかけで始めたのですか?
澤邊:男子なので、「なんとなく強くなりたい」という願望があるじゃないですか。たまたま近所に道場があったので始めたんですが、結構強くて、近畿7府県の代表にもなりました。
金丸:それはすごいですね。
澤邊:当時はそれこそ『ドラゴンボール』のクリリンのように、丸坊主で。あとは水泳やテニスも多少はやったけど、一番夢中になったのは、古墳です。
金丸:古墳ですか!?
澤邊:奈良って古墳がいっぱいあるんですよ。
金丸:もちろん知ってますよ(笑)。それこそ、私も小学校の遠足で行きました。
澤邊:祖父が小さい山を持っていて、そこに古墳があったんです。2年生の頃、そこから出てきた耳飾りのようなものを祖父からもらって。
金丸:個人所有の山に古墳があるというのが、いかにも奈良ですね。ロマンを感じます。
澤邊:ちょうどその頃、映画の『インディ・ジョーンズ』が流行っていて、奈良にも亀石や酒船石のような、誰が何のために作ったのかよくわからない遺跡がたくさんあって。それについて考えるのが、謎解きのようで、すごく楽しかったですね。
金丸:今もお好きなんですか?
澤邊:はい、いまだに好きです。毎晩、弥生時代についてのYou Tube動画も見ています。老後は弥生時代の研究をしたいですね。僕にとっては、弥生時代以降は「新しい」と感じちゃう(笑)。
金丸:澤邊さん自身は時代の最先端にいるのに、“弥生時代以降は新しい”という感覚は面白いですね(笑)。
大学入学が決まった春。人生を一変させる障害を負う
金丸:ところで、私は澤邊さんが車椅子だということは存じ上げていたのですが、手足がまったく動かないというのは初耳でした。
澤邊:無理もないです。車椅子であることすら、10年くらい前まで、ずっと隠していましたから。右手の一部がほんのちょっと動くのですが、障害を負ったのはバイク事故が原因です。
金丸:事故からどのくらい経っているんですか?
澤邊:1992年ですから、もうすぐ30年ですね。18歳のときでした。大学入試が終わって合格して、まもなく入学式という4月1日でした。友人のバイクの後ろに乗っていたら、横転してしまって。運転していた友人は後遺症もなかったのですが、まさか自分が障害を負うことになるとは思いもしませんでした。
金丸:首を負傷されたのですか?
澤邊:7本ある頚椎、つまり首の骨のうち、4番目を脱臼しました。映画『スーパーマン』の俳優、クリストファー・リーヴも僕と同じ部位を損傷しています。頚椎は部位によってどんな障害が起こるか決まります。7番目だと腕も動くのですが、1〜3番目だと、呼吸ができなくなって即死です。
金丸:少し間違えば、即死する危険すらあったんですね。
澤邊:そうですね。頭に異常がなかった代わりに、首に衝撃が来たんでしょうけど。
金丸:でも大学に入ってこれからという時期、人生でも一番元気な18歳で事故とは。
澤邊:救急病院に運ばれ、意識はあるのに1ヶ月ぐらい完全に寝たきり状態で。その後、2年半で4つの病院を転々としながら、ずっとリハビリをしていました。
金丸:ただ、頚椎のような部分は一度損傷してしまうと……。
澤邊:そう、治らないんですよ。だけど僕は「絶対に治る」と思っていて。実は入院して1ヶ月くらいで、先生から「もう一生このままです」と言われたんですが、それまでピンピンしていたのに、「そんなわけないだろう」と。
金丸:「努力すれば治るだろう」と思ったんですね。
澤邊:だから、リハビリに定評のある病院に行って、めちゃくちゃ頑張って。でも、どれだけやっても、まったく効果が出ない。
金丸:それは、神経が切れているからなのでしょうか?
澤邊:いや、僕の場合は骨折ではなく脱臼だったので、MRIで見ても、神経はつながっています。ただ、脊髄ってちょっと衝撃を受けただけで、かさぶたのような跡が残って電気信号が通らなくなり、神経としての働きを失ってしまうんです。
金丸:そのかさぶたを治すことは、できないんですか?
【SPECIAL TALK】の記事一覧
2025.03.21
Vol.126
~「できない」「分からない」の楽しさを伝えたい。万博プロデューサーとして想いを「クラゲ」に込める~
2025.02.21
Vol.125
~卒業して気付いた「まだまだ何でもできる」。元アイドルの肩書に縛られず、自由に挑戦を続けたい~
2025.01.21
Vol.124
~丹後を日本のサン・セバスティアンに。地方の「お酢屋」がまちづくりを考える~
2024.12.20
Vol.123
~モデルから放送作家へ。異色の経歴は恐れずに踏み出した証拠~
2024.11.21
Vol.122
~自分の体を認めることが、自分を好きになるための第一歩になる。~
2024.10.21
Vol.121
~スポーツの喜びをより多くの人が体験できるよう、これからも挑戦はやめない。~
2024.09.21
Vol.120
~日本の農業が続くための仕組みを作り、アップデートできるよう挑み続ける~
2024.08.21
Vol.119
~すべてを制覇したい気持ちは変わらない。経営陣になっても燃えたぎる闘志がある~
2024.07.20
Vol.118
~歌舞伎役者を夢見た少女だから、歌舞伎役者の母としてできることがある~
2024.06.21
Vol.117
~1杯で幸せになる利他的なコーヒーを目指して~
おすすめ記事
2021.07.21
SPECIAL TALK Vol.82
~ハンドボール文化を日本にも。プレーヤーとしての挑戦は試合だけじゃない~
- PR
2025.03.31
結婚1年目から、激務のせいでギスギス…。崩壊寸前のパワーカップルを救ったアイテムとは?
2025.03.11
経営者がリアルに選ぶ“ビジネス会食”の名店8選。大人同士の距離が縮まる理由とは?
2023.07.19
ハラスメント探偵~解決編~
「お仕事できないんでちゅか?」と嘲笑う、スーパー上司のやりたい放題に限界!匿名の内部通報の結末
- PR
2025.03.31
えっ、あの“ミャクミャク”の部屋に泊まれる!?どっぷり万博に浸れる、いまだけのホテルステイとは…
2016.06.24
MBA医師と学力女王が贈る「圧倒的な勝ち組の最強の勉強法」講演会が開催!
- PR
2025.02.12
【豪華プレゼントが当たる】「所有欲が掻き立てられます…」人気セレブ夫婦が魅了された“マセラティ”の車とは
2024.04.11
プロ★幹事
早稲田卒・エリート商社マンがおすすめする良店4選。サプライズのある“隠れ家レストラン”も登場!
- PR
2025.03.27
7種類ものフレーバーが楽しめる! この春、台湾生まれのフルーツビールが話題!
- PR
2025.03.28
ほろ酔い美女の正体とは!?17LIVEの人気ライバー4人を、港区のバーにお連れしてみたら…
東京カレンダーショッピング
ロングヒット記事
2025.03.19
運命なんて、今さら
初めて彼のマンションを訪れた28歳女。しかし、滞在10分で、突然「帰りたい」と思った理由
2025.03.22
男と女の答えあわせ【Q】
「豊洲に住んでいる」と33歳男が言った途端に、デート相手の女が戸惑ったワケ
2025.03.23
男と女の答えあわせ【A】
「年収800万くらいでもいいかな…」相手に求める条件を妥協したつもりの30歳女の大誤算
2025.03.17
1LDKの彼方
「何もないって言われたけど…」彼氏が他の女と連絡を取っていたことが発覚。30歳女は思わず…
2025.03.20
TOUGH COOKIES
「幸せそうな彼女がなぜ?」SNSで悪質コメントの犯人を突き止めたら、意外な人で…