盛りラブ Vol.2

ついに現れた“理想の10箇条”を満たす男。ニヤニヤが止まらないズボラ女子の決心とは?

昼休みにスマホを見ると、瑛太から連絡が届いていた。

『昨日は楽しかったです、ありがとう』

瑛太から連絡をしてくれたのが嬉しくて、芹奈は顔をほころばせる。

ベッドに寝転びながら、返信を打った。

『こちらこそありがとうございました。よかったら、また週末にでも。今度はお互い画面越しで食事なんてどうですか?』

少しでも通話時間が長くなればいいなという一心で芹奈がそう提案してみると、彼も乗り気のようだった。

『いいですね!では土曜の19時にどう?』


週末。2回目のZoomデート日がやってきた。

芹奈はグラスに白ワインを注ぎ、湯気の立ったハンバーグをテーブルの上に置いてから、指定されたミーティングルームに入室する。

「こんばんは」

白い半袖のシャツから、ほどよく筋肉のついた腕が見える。

― あーもう、かっこいい!

この1週間、瑛太のことを考えるたびにズボラな自分を変えようと思っていた。

その結果、お菓子のごみを部屋中に放置することをやめたし、Amazonの空箱はその都度マンションの地下にあるゴミ置き場まで運ぶようになった。そして、夕食をお菓子で済ませるのもやめたのだ。

今日はデミグラスソースのハンバーグに、サラダとコーンスープ。完璧な夜ご飯らしいご飯だ。

ハンバーグにナイフを入れた瞬間、画面の向こうで瑛太がニコニコしながら言った。

「すごい、それ手作りですか!?」

芹奈は一瞬、言葉につまってしまった。

「…そ、そうですよ?」

挙動不審になったが、瑛太は気づいていないようだった。

「えーすごいね!俺ハンバーグなんて作ろうと思ったことないもん」

― 私だって。これ、コンビニよ…?

コンビニで買ってきたレトルトを、お皿にそれっぽく盛っただけなのだ。でも、好きな相手にキラキラした目で「手作り?」と聞かれて、違うと言える女がどこにいるだろうか。

「俺は今ホテル暮らしだから、ほぼ毎日ルームサービスなんです。家庭的なご飯が恋しくなっちゃった」

画面の中で「料理できる子、いいなあ」と感心したようにつぶやく瑛太。

芹奈は、可能ならば一生手作り料理なんてしないつもりだ。コンビニご飯がこんなに美味しい時代に、手作りなんて面倒だ。Uber Eatsだってある。

一人暮らしを始めるときに母親からもらったフライパンは、新品同様の状態でキッチンに眠っている。一体どんなフライパンだったか、色も思い出せない。

…でも、瑛太のためなら、変わりたい。

画面の中で少し寂しそうにサラダを頬張る彼を見て、当たり前のようにそう思ってしまった。

「色々作ってあげたいです。というか、早く直接会ってみたいですね」

そう言うと、瑛太は照れたように「ね。俺もです」と言って笑ったのだった。


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画面越しの芹奈を初めて見たときに瑛太が感じた、ある衝撃とは。

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