2021.08.08
こじれたふたり Vol.1「志保、久しぶり~」
美玲がドアを開けると、中から冷房の涼しい空気とともに、何やら盛り上がっている声が漏れてきた。
「久しぶり!てか、誰かいるの?」
「あ、そうそう。今日雅人くんのお友達も呼んだの」
「え、そんなの聞いてないよ~」
美玲の天真爛漫な笑顔を向けられると、どうしても強く責められない。
「でも、その雅人くんのお友達、めっちゃイケメンだし、エリートだよ!」
「離婚してまだそんな経ってないんだから、そういうのはいいってば~」
私の声が聞こえていないのだろうか、美玲はぐっと声を潜めると、「しかも彼女募集中だって」と、聞いてもいない情報をこっそり教えてくれた。
「お、美玲。お友達きたのか?」
私たちが玄関でコソコソと立ち話をしているのに気がついたのだろう。奥から野太い男性の声が響き渡る。
「うん!志保、あがってあがって」
私は急かされるようにして、リビングへと案内された。
「お邪魔します~、美玲の大学時代からの友人の志保です。…あ、これよかったらどうぞ。ナチュールワインです。ちょっとぬるくなっちゃってるかもですけど…」
「美玲、こんな綺麗な友達がいたなんて聞いてないぞ」
アハハと大口を開けて笑う男性が、美玲の恋人の雅人さんだろう。美玲と似て、生まれつき底抜けに明るい性格をしているように見えた。そこにいるだけでパッと場の雰囲気が明るくなる。
「あ、僕は雅人。で、こっちがショーン。こいつは俺の大学時代からの友達」
雅人さんからの紹介をうけたショーンは、遠慮がちにペコリと頭を下げた。
― …うわっ、すっごいイケメン…。
彫りが深く鼻筋の高い顔は、まるで彫刻のよう。Tシャツとハーフパンツというラフな格好なのに、ファッション雑誌から飛び出てきたみたいだった。
「あ、ショーンはアメリカと日本のハーフね。よく聞かれるから、先に俺から紹介しておくわ」
相変らずアハハと明るくふるまう雅人さんに対し、ショーンは控え目に笑うだけ。
― …あれ、もしかしてショーンさん、私のことあんまり快く思っていない…?
お世辞にも社交的とはいえないその態度に、居心地の悪さを感じる。しかし、美玲と雅人さんはそんなことにはお構いなしに、私をショーンの隣に座らせたのだった。
「みんな揃ったことだし、乾杯~」
雅人さんの音頭で始まったその会は、簡単な自己紹介にはじまり、美玲と雅人さんの出会いや世間話など、一通りの盛り上がりを見せた。
そして、雅人さんはニヤニヤしながら切り出した。思っていることがすべて顔に出るタイプなのだろう。
「で、ショーンはどうなんだ?最近、恋愛の方は」
離婚した理由とかこれから明らかになりつつ、ショーンといい感じに展開していくのかな!
土日に...と比べたらいけないけれど、よっぽど読みやすいし😊
これから楽しみ〜
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