結婚・出産・転職。
20代には人生を大きく変えるイベントがぎゅっと詰まっている。
そんな大きな決断をまえにすると、多くの人は悩む。
世間一般で言われる“幸せ”と、「わたしはわたし」と考える“セルフ・ラブ”はズレるから―。
これはさまざまな葛藤を抱えながら、自分だけの正解を見つけようともがく、20代女子の内面を描いた物語。
File1 進藤ミア(27) 外資コンサル企業勤務の場合
「カラダだけの関係は、悪なのか?」
― カラダだけの、都合のイイ関係。
悩める女子があとを絶たないこのテーマ。世間的には女子のほうが「可哀想」と同情されるようだ。
でも私は実は、そういう関係のほうが楽でいいや、と内心思っている。だからこの質問にはいつも、ぎくりとしてしまうのだ。
「進藤さんって、彼氏さんとかいるんですか?」
24歳のリコは、興味津々な様子でこちらを見てくる。同じプロジェクトにアサインされて以来、一緒にコーヒーブレイクに行く仲だった。
「いるよ。もう結構長くて」
いつものように嘘をつく。
「そりゃミアさんみたいに綺麗で仕事もできたら、彼氏できないわけないですよね。ミアさんは何でも持っていて、いいなあ」
羨ましそうなリコに、にっこりと笑ってみせたが、「付き合って長い彼氏がいる」なんて大嘘。
私に彼氏がいないのは、真面目に付き合うことが面倒だから。身体の関係を持って、お互い都合の良い時だけ会う。その関係が自分にはぴったり合うと思っていた。
でも、いつまでもこの嘘をつき続けるわけにはいかない。
27歳だからまだぎりぎり逃げ切れるが、30歳を過ぎたら「なんで結婚しないの?」に代わる。
「可哀想な独身女」というラベルを貼られるのはごめんだが、結婚したら自由がなくなりそうでイヤ。そんな自分に矛盾を感じる、今日この頃。
「リコちゃんは、彼氏いなくても20代を謳歌してるじゃない。さ、仕事に戻るよ!」
今日絶対に残業できない私はコーヒーブレイクを早めに切り上げ、席に戻った。
今夜、仲のよい同僚とずっと行きたかった白金のフレンチを予約している。有名シェフが独立したというその店は、ワインを飲めば、軽く3万は超えるだろう。
時間もお金も、自分の好きなように使える。ときどき寂しくなったら誰かに連絡すればいい。
この自由を、どうしても手放したくないのだ。
この記事へのコメント
双方納得してるならいいけど、ミアは嫉妬が芽生えてきたみたいだから、だったら正式に恋人になった方が精神衛生上いいんじゃないかな?
って聞き方が、何だか馬鹿っぽいんだよ。お付き合いされてる方とかいますか?でいいのに。
一瞬どんな?と思ったら、
後腐れなくだった😪😪