2021.07.12
リバーシ~光と闇の攻防~ Vol.13東京の平凡な女は、夢見ている。
誰かが、自分の隠された才能を見抜き、抜擢してくれる。
誰かが、自分の価値に気がついて、贅沢をさせてくれる。
でも考えてみよう。
どうして男は、あえて「彼女」を選んだのだろう?
やがて男の闇に、女の人生はじわじわと侵食されていく。
欲にまみれた男の闇に、ご用心。
「リバーシ~光と闇の攻防~」一挙に全話おさらい!
第1話:出会って3分、IT社長に見初められた地味女。彼から与えられた「衝撃の仕事」
― もう一度就職活動をしよう。
そう決意し、チャンスの多い東京を中心に受けてみることにした。しかし、現実はそう甘くない。
大したスキルもなく、職歴も1年程度。転職エージェントも、転職は難しいだろうと遠回しに伝えてくる。企業に直接応募してみても、結果は芳しくない。焦りと不安で押しつぶされそうになっていた時だった。
03から始まる番号で、着信があったのは。
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第2話:上司から与えられる、“無償の愛”。24歳OLの人生が狂い始めた夜の出来事
「この部屋が、社員寮…?」
つい本音がこぼれ出た。エントランスや外観にも驚いたが、部屋に足を踏み入れてその驚きは増した。いわゆる1LDKなのだが、とにかく広い。
正直なところ、会社の“寮”というもの自体にあまり期待していなかった。大企業でさえも郊外にあると聞いていたから、まさかこんな都心の高級マンションが与えられるとは。
大きな窓から、眩しいくらいの光が差し込む。その開放感に、秋帆は再び言葉を失った。
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第3話:未経験・スキルなしで、月給60万を得た女。その裏に隠された、男との蜜月
“一般の人が足を踏み入れられない場所に、仕事で行っている私”
“仕事でこんなところに行っているの。すごいでしょう?”
そんな優越感が病みつきになり、“仕事で訪問”というハッシュタグとともにアップし続けていた、そんなある日。
『もしかして昨日、うちの会社に来てた?』
先日アップした広告代理店の写真に、コメントが付いた。
― うち?誰からだろう…?
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第4話:「彼のためなら何でも…」上司に心酔する女が引き受けてしまった、禁断の仕事
― せっかく一緒に働いている仲間だし仲良くなりたいのにな…。
秋帆は、そんな希薄な人間関係に寂しさを感じていた。そんな矢先、休憩スペースで話しかけてくれたのが、webデザイナーの彼女だった。
「あの…。黒川社長って、どんな人なんですか?実は昨日…」
秋帆は、昨晩ひかりに“気をつけなよ”と言われたことを打ち明ける。彼女なら、もしかしたら黒川のことを詳しく知っているかもしれないと、聞いてみることにしたのだ。
「気をつける、ねぇ。それだけだとなんとも言えないけど…」
「うーん」と、しばらく首を傾げていた彼女だが、突然「あっ」と、思いついたような表情を見せた。
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第5話:社長から渡された、従業員リスト。秘書を戦慄させた、恐怖の中身とは?
「スケジュール調整をお願いしたい」
秋帆より少し遅れて出社した黒川は、そう言いながら書類を渡してきた。
「承知しました」
早速中身を見てみると、そこには社員の名前がリストアップされている。経営企画、財務、人事、営業など、部署はバラバラ。年齢層もバラバラで、基準はよく分からない。
秋帆がぼんやり名簿を眺めていると、黒川は机を指で叩きながら、ひどく苛立った様子で続けた。
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第6話:上司の歪んだ寵愛に溺れた女。不意に知らされた、衝撃の「男の裏の顔」
「せっかくの転職先にいきなりケチをつけるのもどうかと思って黙ってたんだけど…」
「待って」
秋帆は、思わずひかりを制した。その先を聞くのが怖い。心の準備をしようと、大きく息を吸う。
「何を知ってるの…?」
恐る恐る尋ねると、ひかりはこう続けた。
「私は当事者じゃないから、あくまで又聞きだけど。でも、今の話を聞く限り、的外れでもないと思う」
そう言ってひかりは、ポツリポツリと語り始めた。
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第7話:「嫌なこと、全部忘れられる…」密偵の罪悪感に苛まれた女の、危険な現実逃避
「今回のリスト。よろしく」
出勤した黒川は、秋帆のデスクの横を通りながら書類を置いた。
― またか…。
周囲に見られぬよう、秋帆は急いで書類を引き出しにしまう。相変わらず、会社、いや黒川にとっての不穏分子を内密に調査する業務は続いていた。
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第8話:「どうして知ってるの…?」女を恐怖のどん底に陥れた、上司からのメッセージ
ひかりの言うことももっともかもしれない。後ろめたさを感じるのではなく、もっと鈍感になれば良いということだろう。
だが、秋帆は完全に同意することもできなかった。
「割り切って甘い汁を吸わせてもらおう」という気持ちに、どうしてもなれなかったのだ。そう割り切れたら、どれだけ楽だろうか。
せっかく会ってくれてひかりが元気づけてくれたというのに、秋帆の中のモヤモヤした気持ちは晴れない。そのときだった。業務用のスマホが振動したのは。
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第9話:24時間、社長の監視下に置かれた女。そこから抜け出すために取った、命がけの行動
「そろそろ起きよう…」
狭いビジネスホテルの一室。ベッドサイドで鳴り響くアラーム音に、秋帆は目を覚ました。昨晩、「離れたほうがいい」というひかりのアドバイスに従って、ビジネルホテルに駆け込んだのだ。
時刻は、9時を回ったところ。いつもなら始業の時刻だが、今日は出社しないつもりだった。昨晩、黒川にメールを送っておいたが、その後返信があったかどうかは見ていない。
監視から逃れるため、業務用スマホや自分のスマホ、すべて電源を切って部屋に置いてきたのだ。
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第10話:「私は、あなたのこと…」サイコパス社長を動揺させた、部下の予想外な言葉
「とりあえず、白田さんの話を聞くことにしよう。悪いが、ドアを閉めてくれるか?」
黒川は、傍らに立っていた人事部長に指示を出した。
「ですが黒川社長、この後は社内の会議が…。白田さんのことでしたら、私が対応いたしますので」
多忙の黒川に気を遣ったのだろう。人事部長は、パソコンに表示されたスケジュールを見ながら、遠回しに進言した。
だが、今の黒川にとっては、自分に反旗を翻した秋帆を懲らしめるほうが優先だった。これまで、自分に逆らった者にそうしてきたように。
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第11話:「許さない…」24歳の女に見捨てられた社長が、深夜2時までやっていたコト
社長室を後にした秋帆は、そのままエントランスに向かった。一度振り返って、深々と頭を下げる。
退職願も出してきたところだ。デスクも一通り片付けてきた。もうここに来ることはないだろう。
改めてエントランスを眺めると、面接で来たあの日や出社初日が思い出されて、少しだけ胸が苦しくなった。黒川から離れると決めたものの、今後のことは何も決めていない。不安がないといえば嘘になる。
だが、限界だった。これ以上、罪悪感に苛まれながら仕事を続けることはできなかったのだ。
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第12話:どこまでも追いかけてくる、狂気的な上司。逃げ場を失った女の、最後の賭け
あの時、秋帆は人生で一番緊張していた。その結果、心身ともに疲れ切ってしまい、一昨日から食事もろくに取らず、寝込んでいたのだ。
その時、インターホンが鳴った。
「あ、私が頼んだ荷物かも~。出てもらってもいい?」
「了解…」と言いながらモニターをのぞきこんだ秋帆は、絶句した。
第12話の続きはこちら
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