女といるのが向いてない Vol.5

今夜はイイ雰囲気だと思ってたのに。舞い上がっていた女の身に降りかかった、最悪な出来事

女といるのが向いていない、男たち。

傷つくことを恐れ、女性と真剣に向き合おうとしない。そして、趣味や生きがいを何よりも大切にしてしまう。

結果、彼女たちは愛想をつかして離れていってしまうのだ。

「恋愛なんて面倒だし、ひとりでいるのがラク。だからもう誰とも付き合わないし、結婚もしない」

そう言って“一生独身でいること”を選択した、ひとりの男がいた。

これは、女と生きることを諦めた橘 泰平(35)の物語だ。

◆これまでのあらすじ

泰平は、同じ代々木上原に住む灯(あかり)から積極的に誘われ、二人で食事をする。

初めは奔放な彼女に苦手意識を持っていた泰平だったが、だんだんと一緒にいるときの気軽さに気づく。そうして少しずつ、灯に惹かれ始めていることを自覚するのだった。

▶前回:「気になる女が、他の男ともデートしていて…」何気なく探りを入れた瞬間、女が見せたまさかの反応


石津 灯「こんな人、そうそういない」


「汐留までお願いします」

私はタクシーに乗り込み、アンティークジュエリーがたくさん入った紙袋を脇に置いた。今日は、夏用カタログの撮影日なのだ。

4年前に始めたショップの経営は、すこぶる好調。ありがたいことに、とても忙しい。…それなのに。ふとした瞬間、気づくと泰平さんのことを考えている。

― 今週末、また食事に誘ってみようかな。でも毎週じゃ、しつこいかなあ。

車窓からビル群を見上げながら、ため息をついた自分に笑う。

― 私ったらどうしたの。泰平さんは、今まで好きになったタイプと全然違うのに!

これまで付き合ってきたのは、賑やかで男女問わず友人が多いタイプの人ばかりだった。しかし彼はその真逆で、決してフレンドリーではないし、話しかけてもぎこちなくおどおどしている。

「お客さん、もうすぐ着きますよー」

運転手の声にハッとした私は、LINEのアイコンをタップし、泰平さんとのトーク画面を開いた。

“善は急げ”は、仕事でも恋愛でも私のモットーなのだ。

― えい、送っちゃえー!

メッセージを打って、勢いで「送信」を押す。

『今週土曜、会えたりする?会いたいな!』

そして背筋を伸ばし、ヒールを鳴らしてスタジオへと向かった。

「うっとうしいと思われたらどうしよう」という不安をかき消すように。

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