貴女みたいに Vol.7

「彼氏をシェアしましょう」ありえない願望を口にする女の、本当の気持ちとは

「大好きだから、あなたみたいになりたい」

そんな言葉とともに、

なんでも話せる女友達に、姿形も、仕事も、恋人も、全てコピーされ、人生を乗っ取られてしまったら…。

恋も仕事も順風満帆。充実した毎日を送っていた夏絵(33)と同じ会社に、恵理(28)が入社してくる。

それは、女の日常に潜む地獄の始まりだったー

◆これまでのあらすじ◆

繰り返される恵理の奇行に精神的に追い詰められ、婚約者の智樹との関係にも亀裂が入り始める夏絵。
そんなときに再び怪文書メールが社内に出回り…

▶前回:「過去の過ちは、結婚前に精算しなきゃ」婚約中の女を追い詰める最悪のメールの中身とは


―麻理は明るくて愛想も良いのに、恵理はかわいげがない。

―お姉ちゃんと比べて、恵理はなんの取り柄もない。

写真も思い出も、何もかも捨ててきたはずなのに…。呪いの呪文のように、何度も何度も浴びせられ続けてきた言葉は、今でも恵理の胸に突き刺さったままだ。

「私なんて、どうして生まれてきたんだろう」

そして、心の中でこう繰り返す。

―私なんて、いなくなればいいのに!!

だからもっと、憧れのあの人にそっくりにならなきゃ。私が私じゃなくなるくらい、顔も、持ち物も、仕事も、何もかも、もっともっとあの人みたいになりたい。

「夏絵さんは、素敵な人だから、許してくれるよね?大島社長にも社会的制裁が下るし、夏絵さん満足してくれたかな。あとは、智樹さんをシェアできれば…」

恵理は、シェアというアイディアにじわじわと喜びがこみ上げ、一人で笑い出す。

「うふふふ。我ながら良いアイディア。私はもっともっと夏絵さんとそっくりになって魅力的な女性になって、当然智樹さんにも愛されて…夏絵さんもそばにいて…ふふふ」

恵理は壁に耳を当て、隣室の気配を懸命に感じようとしている。記憶を頼りに、部屋のインテリアもそっくりにした。それを自分のSNSに投稿していたら、夏絵に青ざめた顔で詰め寄られたのだ。

―ねえ、お願い。やめて……。これ以上私の人生を奪わないで。

唇を震わせる夏絵の顔は美しかった。憧れの人に近づき、また支配している高揚感で、こみ上げる笑いが止まらない。

「ふふふふ、あははははは」

お腹を抱えて笑う恵理の目から、涙がとめどなく溢れ続けていた。

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