2021.01.21
オトコの棚卸し Vol.1『先月、会社を立ち上げました。CEOとして早速取材いただき、明日、XXテレビで放映される予定です!』
そんなテキストと共にストーリーに流れてきた投稿は、細身のスーツをビシっと着こなし、スタートアップのCEOらしく会社のロゴの前で腕を組んだ、お洒落な男性の写真。
「高山 光司…」
七瀬は思わず息を止めて、その投稿を凝視した。
―何よ、光司さん、あの頃よりずっと垢ぬけて恰好いい…。
大学時代の元彼、光司。七瀬は指を折りながら、光司と付き合っていた頃から何年が経過しているのかを数え始めた。
―私がハタチの頃だから、…あれから10年…?2歳年上だったはずだから、光司さんは今、32歳?
そういえばインスタグラムを始めたとき、一斉に登録した友達の中に入っていたかもしれない。
ーフォローしていたことすら、すっかり忘れてたわ…。
七瀬は食い入るように、光司の過去の投稿を遡りながら女の影を探す。
―結婚…してなさそうね。
「ありだわ」
そうつぶやくや否やベッドから起き出し、お気に入りのモレスキンの日記帳をテーブルの上に広げ、ペンを手に取った。
―新しい出会いが無いなら、既に知ってる人ともう一回出会えばいい。
過去の、男たち…。
ペンをカチカチと鳴らしながら、七瀬はざっと記憶を辿ってみる。
中には顔も合わせたくないような男もいるけれど、それ以外で、「再会すれば上手くいくかもしれない」人。
学生時代の彼氏、働き始めてからの彼氏、当時ちょっと遊んでいた相手、食事会で出会って数回デートした人…。
―恋愛は、タイミングっていうしね。
七瀬は今のタイミングなら「あり得る」男たちを、LINEやインスタグラムで検索した。
タイトルは少し悩んだ末、「棚卸しリスト」とつける。
過去のオトコたちをじっくり吟味し、運命の1人を決めるのだ。
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棚卸しリスト
・光司さん(たしか32歳):大学時代の彼
・寛人(たぶん29歳):20代前半の頃の彼(付き合ってはない)
・康平(たぶん31歳):20代半ばの頃の彼
・蓮さん(たぶん32歳):去年の食事会の人
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「一旦、このあたりかしら」
走り書きしたメモを上から辿りながら、七瀬は何かを企むかのような笑みで、確かめるように頷いた。
―記憶の時系列で、まずは、光司さんから、ね…。
『光司さんお久しぶり、投稿みたよ!会社設立、おめでとう♡』
インスタグラムのDMで、何度か書き直したメッセージを送信。
―まずは一旦シンプルに、わざとらしくないように自然に。
すぐにメッセージに既読がついたと思うと、画面に「入力中…」と表示される。
―さっそく光司さんから返信きそう…!何て来るかしら…?
七瀬は期待に胸を膨らませながら、光司からの返信を待った。
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