貴女みたいに Vol.2

「私も一緒にいいですか?」いじめられている新入社員をかばったら…断れないまさかの要望

「大好きだから、あなたみたいになりたい」

そんな言葉とともに、

なんでも話せる女友達に、姿形も、仕事も、恋人も、全てコピーされ、人生を乗っ取られてしまったら…。

恋も仕事も順風満帆。充実した毎日を送っていた夏絵(33)と同じ会社に、恵理(28)が入社してくる。

それは、女の日常に潜む地獄の始まりだったー

◆これまでのあらすじ◆

ベンチャー企業で働く夏絵は、自社のイベントでコンパニオンをしていた恵理と意気投合。「夏絵さんみたいになりたい」と公言する恵理の人懐っこさに、奇妙な違和感を抱きつつあった。ある日、恵理が夏絵の会社に入社してくることに。いつのまにか夏絵の推薦があったことにされていて…。

▶前回:女の地獄が始まる。キャリアウーマンとコンパニオンの歪んだ格差友情


自他共に認める“まじめすぎる”夏絵は、正義感が強く曲がったことが大嫌いだ。

だから、どうしても過去の自分の行いを許すことができない。

―既婚者って知らなかったとはいえ、結果的に不倫だもんね…。

社長の大島遼一と出会ったのは、新卒で入社した商社だ。夏絵より8歳年上の大島は面倒見もよく頼りがいもあった。学生時代勉強漬けだった夏絵に、はじめて大人の世界を見せてくれたのが大島だ。

大島の仕事っぷり。スマートな遊び方。穏やかな性格…。夏絵はそのすべてに憧れ、思い焦がれていた。そして大島もそんな夏絵の健気な思いを受け止めて、2人は自然と恋に落ちることになったのだ。

夏絵は25歳、大島は33歳のときのこと。関係は1年続いた。

―幸せだったのに…。1年間ずっと既婚者だってこと、隠されていたなんて…。

思い出したくもない過去だが、男女の関係だったのは大島との5年間の歴史のうち、たったの1年間だ。発覚後は夏絵からすぐに別れを切り出し、思いも断ち切り、そして…

それ以外のたくさんの思い出を大切にするために、付き合っていたことは”無かったこと”にした。

しばらくは苦しみを引きずったものの、その後の大島との関係は良好だ。今ではこうして一緒にベンチャーを立ち上げるほど、仕事のパートナーとしての揺るぎない信頼もある。

ただ、この話は、今の社内で知る人はいない。当然、婚約者の智樹にも話していない。話す必要のないことだ。

だからこそ夏絵は、恵理の問いかけに耳を疑ったのだ。

「夏絵さんと大島さんって、もしかして、お付き合いしてます?」

頭から、血の気が引いていくのが分かる。夏絵はどうにか平静を装うと、唇をしめらせて言葉を絞り出した。

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