2020.10.07
“一般女性”の告白 Vol.1きっかけは、1年半前。2019年5月のことだった。
「ねぇ真子、今日の夜空いてない?」
4限終了後。同じ心理学の講義を取っている友人から声を掛けられた。彼女は、都内の女子校出身でやたらと顔が広い。食事会やパーティーなどは彼女から誘われることが多かった。
「一応空いてるけど…何かあるの?」
テキストをバッグにしまいながら尋ねると、彼女は得意げな笑みを見せた。
「この前ホームパーティーでテレビ局の有名プロデューサーと知り合ったんだけど。その人から連絡があって、今夜イケメン俳優と飲むから来ないかって!一緒にどう?」
「え、イケメン俳優!?」
東北の田舎から大学進学のために上京してきて、早1年。
自慢じゃないが、中学・高校は男子の間でファンクラブができるほど“可愛い”と持てはやされてきた私。
小動物系の顔立ちに、自慢のスタイル。それは東京でも受けが良かったようで、食事会やパーティーなどに誘われる機会も多い。それなりに充実した毎日を送っていたが、イケメン俳優が来る飲み会には未だ参加したことがなかった。
東京に来ればいつか…なんて淡いミーハー心を抱いていた私にとって、それはとても魅力的な誘いだった。
「ふふっ。場所はあとでLINEするね!」
◆
彼女から指定された場所は、恵比寿の雑居ビルの中にあるバー。まさかこんなところに芸能人が来るわけないと、店の扉を開けるまでは半信半疑だった。
しかし……。
「あ、お疲れ様でーす!」
友人が手を振る先のボックス席には、小柄なおじさんと、彼の周りを囲む美女数名。そして、テレビで見たことがある若い俳優が2人。
友人と共に席に着き、彼らの顔を今一度確認する。
―この人たち、実在したんだ…。
それが、最初の感想だった。
手の届かない存在だと思っていた彼らと、同じ空間に居るということが信じられなかった。ましてや、こんな小汚いビルの一室で。
東京では芸能人と意外と簡単に会える。
その事実は大きなカルチャーショックだったし、私の心を揺さぶった。
―私、芸能人と友達…いや、彼女にだってなれるかも。
そこから私は、ある目標を立てた。
“高校の頃からファンだった「吉沢敦」と付き合うこと”
その無謀な望みが、私を突き動かした。
『今から西麻布に来られる?』
まず、芸能人の飲み会に呼ばれるためには、フットワークの軽さとお酒の強さが大事らしい。学生で時間が自由に使えて、父親ゆずりでお酒が強い私は、この2つをすんなりクリアした。
その上、いわゆる港区女子のような洗練された女性に少々食傷気味の業界人には、私の東北訛りや田舎者エピソードは、面白がられ気に入られる傾向があることがわかった。
でも、本当に垢抜けないのでは“ネタ枠の女”で終わってしまう。
そうならないために、服装や持ち物は上品かつ洗練されたものを選んだ。“田舎から出てきた東京に染まっていないお嬢様”のイメージで振る舞うよう常に心掛けた。
「真子ちゃんって、全然スレてないよね。こういう飲み会に来る子の中では本当に珍しいよ」
そう言われるたびに私は「田舎者扱いしっさんなよぉ」とあえて方言で怒って見せたが、内心は“してやったり”と思っていた。
こうして考えると、松◯聖◯さんって凄い人だったんですね。福岡県に住んでいた時から、「◯◯(某芸能人)と結婚する!」と周りに宣言して、自らもスターになり、その人と本当に熱愛を果たすんですから……。別れた後、互いに別の人と3回結婚するというオチが付きますが😅
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