2人の花嫁 Vol.9

「スマホが振動する度にドキッとする…」結婚式まであと3週間の女が恐れている、ある連絡とは

2020年のプレ花嫁達は、この状況下で不安を抱えながら準備に励んでいる。

「この気持ち相談できる友達が欲しい」

そんな想いが通じ、運命的に出会った2人の花嫁、紗理奈とアヤ。

……ところが、「あの子が羨ましい」 互いの距離が近づけば近づくほど、比べ合うのが女の定め。

結婚式準備を通じて変化していく女の友情の行く末は……?

◆これまでのあらすじ

障害を乗り越え、結婚式準備が軌道に乗ってきた紗里奈と、子供ができて働き方に悩むアヤ。アヤは部署異動を勧められて落ち込むが…?

▶前回:「妊娠したら迷惑なの?」キャリア女子が衝撃を受けた、上司のマタハラ発言とは


結婚式まであと1ヶ月


12時になった瞬間オフィスの食堂へ駆け込んだワケは、経理部の水谷さんと話す時間を作るためだ。

「アヤちゃんもママか〜。仲間ができて嬉しいわ」

久しぶりに見る水谷さんは、営業部にいた頃と随分雰囲気が違うものの、とても元気そうだった。長かった髪は、顎のあたりでボブに切りそろえられている。ふんわりした形のロングスカートを履いているのも初めて見たし、足元はいつものハイヒールではなくフラットシューズだった。

「で、アヤちゃんも部署異動勧められたとか?」

ランチタイムは1時間しかない。単刀直入に話題を切り出した水谷さんの質問にアヤは頷いた。

部署異動を勧められたが今の部署でまだ働きたいと思っていること、産休・育休明けに職場復帰した後のキャリアプランが見えず、どうしたら良いか悩んでいること…アヤの話を、水谷さんはうんうんと頷きながら聞いてくれた。

「気持ち、分かるわよ。最初は私もそう思ったから。でもね…」

次に発せられる言葉を待っていると、水谷さんは切れ長の瞳を少し細めて美しく微笑む。

「無理なく、自分のペースで働ける環境に身を置くのもアリかなって思ったの」

水谷さんは、2年前までは営業で朝から晩までバリバリ働き、男性顔負けの成績をおさめていた優秀な先輩だった。

その上、人柄もよかった彼女は、営業部で管理職に昇進していくタイプだろうと周りの誰もが思っていたし、恐らく本人もそのつもりだっただろう。

そんな彼女が他部署で満足しているという発言に驚き、アヤはフォークを持つ手を止めて水谷さんの顔をまじまじと見つめた。

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