東京 ブラン・ニュー・デイズ Vol.11

遠恋の彼と4か月ぶりに過ごした翌朝、26歳女が目にした驚きの光景とは

あなたの暮らしに彩りをあたえてくれるものって何ですか?

日常を豊かにし、気分を上げてくれるモノ。

これはそんな“モノ”を見つけた主人公たちのオムニバスストーリー。

▶前回:「顔は、可愛いんだけど…」デート後、彼女のLINEをブロックする男の本音


「香帆里(かおり)、久しぶり!」

羽田空港第1ターミナルの到着ロビー。

恋人の尚哉が軽く手を振りこちらに向かって微笑む姿を見て、香帆里は嬉しいような、切ないような何ともいえない気持ちで一杯になった。

大手証券会社に勤める3コ上の29歳の尚哉と交際して2年。

今年の春、人事異動で札幌転勤になった彼に会うのは4か月振りである。

札幌出発前に本当は見送りもしたかったし、じっくり今後について話し合いたかった。でもこの状況がそれを許さなかったのだ。

「夏に帰るから、プロポーズの答えはゆっくり考えておいて」

そう言い残し、彼は1人札幌へ旅立って行った。

―直接会えるって、やっぱり違うなぁ。

尚哉と手をつないでタクシー乗り場に向かいながら香帆里はしみじみ考えていた。

オンライン上でやりとりしている間は、尚哉からプロポーズの返事を催促されることもなかったし、香帆里も自らその話題に触れることもなかった。

夏休み、彼が東京に帰ってきた時に話し合うと、暗黙の了解でお互い理解していたから。

自粛期間が明け、県を跨いだ移動もできるようになって初めて、尚哉は夏休みを利用して東京にやってきた。

彼の滞在期間は、たった3日間。

この3日の間に、私には彼に話すべきことがあるー。

そう思うと尚哉に会える嬉しさを噛みしめる一方で、胸が締め付けられるように苦しくなるのだった。

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