フォックス・アンブレラの男 Vol.1

上質な傘を持つ男が放つ、ビニール傘男にはない残り香

たかが、傘1本。されど、傘1本。

その傘に、男の哲学が宿る。

英国製の紳士淑女のための傘、フォックス・アンブレラ。英国王室御用達で約150年の伝統を持つ、細く巻け、開けている時も美しい、細身傘の代名詞だ。

そんなフォックス・アンブレラを愛する男、克典42歳。傘から垣間見える人間性と、そこで繰り広げられる人間模様。ミステリアスな克典を、傘を通じて様々な女性が振り返る。


聖子の雨の日の思い出


初めて克典さんと出会ったのは、少し小雨が降る9月の半ばのことでした。残暑の厳しさも少し和らぎ、涼しくなってきて過ごしやすいな、と感じたことを覚えています。

その日は商社の同期、と言っても、私は総合職じゃなくて事務職なんですけど。事務職の同期、智子と二人で参加したお食事会に克典さんはいました。

笑えるような話ですけど、名前の通り、高橋克典さんにちょっと顔が似ていて。それを言ったら、

「別に意識してこの名前になった訳じゃないんだけどね。聖子ちゃんは、何で聖子ちゃんって言うの?」

って聞かれたんです。母曰く、私の名前・聖子は当時流行っていた松田聖子さんから取ったらしいです。

肩幅が大きくて、でも大き過ぎないベストバランス。スーツがとても似合っていて、素敵な人だな、というのが第一印象でした。体型は...さっきから芸能人の例えばかりで申し訳ないのですが、加藤浩次さんみたいな感じでした。


でも、その食事会の時の克典さんの印象はそれくらいで。この時はまだ、私が克典さんにどっぷりハマっていくことになるなんて、想像もしていませんでした。

帰り際に、さっと開いた傘に魅了され、雨が降る中、そっと抱き寄せられるまでは。

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