東京テラス族 Vol.1

東京テラス族:生まれながらの格差に、抗えない…。30歳の丸の内OLが友人に劣等感を抱く理由

—“何者か”になりたい。

東京で生きながら、漠然とそう願ったことはないだろうか。

田園調布で生まれ、私立一貫校で育った裕太(34)、同じく目黒出身の修二(34)。そして丸の内OLの優子(30)と、生粋のお嬢様である麗華(31)。

そんな4人がいつも集うのは、とびきりの雰囲気の中でお酒や料理が堪能できる、東京のどこかのテラス席。

複雑に関係が絡み合う、“テラス族”の男女4人。今ここに、熱くて切ないラブストーリーが始まるー。


「なぁ、俺たちこのままでいいのかな」

あれは、2020年夏の始まりだった。その日は梅雨明け間近の快晴で、いつも以上に太陽が私たちを熱く照らしていた気がする。

『CICADA』のテラス席で、太陽の光を一身に浴びながらシャンパンを飲んでいた私たちは、裕太が突然放った一言に一瞬キョトン、となった。

「子供の頃に思い描いていた34歳って、こんなんだったのかなと思って」

裕太は時々こうやって、不思議なことを言い出すのだ。相変わらずの発言に、いつも冷静な修二がすかさず突っ込みを入れる。

「何だよそれ。漠然としてんなぁ」

修二に合わせるように、麗華も鼻で笑っている。

でも、私は笑えなかった。

仕事も楽しいし、こうして大好きな仲間たちもいる。東京のキラキラを寄せ集めたような生活もできている。でも30歳になっても独身で、不安がないといえば嘘になる。

そして何よりも、漠然と“もう少し上に行きたい”と思っていたから。

「今年の夏を、最高のものにしようぜ」

裕太がそう言って、修二、麗華、私。みんなで思わず顔を見合わせた。

けれどもこの言葉どおり、今年の夏は4人それぞれにとって、一生忘れられないものになったのだー。

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