彼女のウラ世界 Vol.6

「尽くしてくれる彼女に甘えたい」彼女に“母親代わり”を求めるアラフォー独身男の本音

「僕は、彼女のことを何も知らなかった…」

プロポーズした直後、忽然と姿を消した彼女。捜索の手掛かりは、本人のものだと思われるインスタグラムのアカウントだけ。

―彼女が見せていたのは、偽りの姿だった?

インスタグラムに残されていた、慎ましやかな彼女の姿からは想像もできない世界とは…。

◆これまでのあらすじ

2019年4月。プロポーズの数日後、前触れもなく消えた敏郎の恋人・明子。手掛かりは、彼女のものと思われるインスタグラムだけだが、なかなか消息が掴めない。

そんな中、敏郎のスマホに見知らぬ番号からの着信が。恐る恐る出た敏郎は…。


「トシ君、お父さんの七回忌はいつ来るの?せっかくだからゆっくりしていきなさいよ」

電話の主は、故郷・富山に住んでいる、母の典江だった。敏郎はガッカリしつつも、こうやって母の声を聞くのも久しぶりだなと、どこか懐かしい気分になる。

「ママさ、何なのこの番号」

「ふふ。安いって電気屋さんがいうからスマホにしたの。で、どうなの」

典江も敏郎と久々に話せたからか、声が弾んでいる。しかし、敏郎は振り払うかのように言い放った。

「忙しいし、朝行ってとんぼ返りだよ。時間、連絡するから迎えに来てよ」

冷たい態度だとは分かっている。頑固でプライドの高い歯科医だった父親に、似ている部分もあるのだろう。

それに上京するまでワガママ放題に育ってきた彼にとって、今さら親孝行をしたり優しく接するのは、どこか気恥ずかしさがあるのだ。

専業主婦一筋の典江も、自分に対して好んで世話を焼いているようだし、それに乗じて甘えている部分もある。

すなわち、典江のような母親の背中を見てきたからこそ、明子のような家庭的で尽くしてくれるような女性に敏郎が惹かれるのは当然のことだった。

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