2020.05.29
男たちの恋愛反省会 Vol.1男もやります身代わり作戦
「ちょっと気になってたんだけど」
思い思いに恋愛話に花を咲かせていた他の2人と違って、冷静な姿勢を崩さなかったのは、林原 静(はやしばら しずか)だった。
「お前さ、この話、自分のことだろ?」
そう指摘された途端、隼人の顔が瞬時に赤くなった。
「え、マジかよ!?」
「そうなの? 女の子みたいだね」
静とは別の2人が追い討ちをかける。特に「女の子みたいだね」という言葉が効いたようだ。隼人はがっくりとうなだれてしまった。
そう。先ほどビールを飲みながら考えていたのは、このことだったのだ。
だが、未だにクヨクヨ考えることがあると知られたくなくて、必殺技「コレハ、友達ノ話ナンダケド」を発動していたのだ。
今回のような失恋話はもちろん、嫉妬を呼びそうな話、自分だとバレると恥ずかしい話題…によく使われる手法だ。
「友達の話なんだけど」
そう言って切り出す話は、往々にして自分の話であることが多い。女性が恋愛の話をする時によく使うとされているが、実際には男性もよく使う。
「…なんで分かったんだ?」
「エピソードの中で会社、立ち上げてたじゃん。起業してる人間、そんなにいないって」
隼人の疑問に、即答する静。隼人はその言葉を聞いて、しまったと思った。そこの設定を変えておくべきだった。
静は続ける。
「甲斐さんって覚えてない? 同じクラスだった」
そもそもこの4人の集まりは大学時代の第二外国語で振り分けられたクラスが同じだったことから始まっている。
その当時の記憶を静は思い出し、隼人が当時自分に相談してきていた内容と酷似していることに気付いたのだった。
「あー、あの子か。顔は思い出せないけど」
「ごめん、全然覚えてない」
それを聞いて各々違った反応を見せる参加者たち。しかし、当の本人である隼人だけは様子が違った。
「やめてくれー!」
一際大きな声が会場を包む。思わず耳を塞いでしまうほどの大きな声だった。
しかし、隼人が一番訴えを聞いて欲しかった静は、瞬時にスピーカーをオフにしたのでことなきを得、結果として残りの2人がダメージを負う結果となった。
当時、隼人が好きだった“甲斐さん”が共通の知り合いであったということが分かり、場はしばらくその話題で盛り上がった。
とはいっても、彼女の詳細な情報はほとんど思い出せず、ターゲットはすぐに隼人に戻った。
「まあ仮に本当に友達の話だとしたら、ただのプライバシー侵害だよね」
静が追撃する。
「たしかに」
「その視点はなかった」
残りの2人も追随する。
しかし、隼人も黙っていない。大学時代からの仲であることはお互い様。隼人の弱点が知られているのと同じように、静の弱点も知っているのだ。今回の隼人のように、墓穴を掘るかどうかは別にして。
「お前も後悔してることがあるの、俺は知ってるぞ! し、ず、ちゃん!」
「その呼び方やめろ」
苦々しい顔で、静はつぶやく。隼人の一言で、思い出したくなかった過去を思い出してしまったからだ。
▶︎Next:6月5日 金曜更新予定
隼人の身代わり作戦を見事に見抜いた静。いつもすまし顔の静が語る、彼の恋愛反省談とは…?
というか、オンライン飲み会って楽しいのかな。。古い考えの人間だからか、やっぱり会って話してナンボでしょ、って思っちゃって。。
いや、大半はそんなこと重々承知してて、今はまだそれをしにくいからオンライン飲み会をしてるだけ、ってことなのかも知れないけど。。
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