妻のベール Vol.11

「旦那さんのこと、憎いでしょ」満たされない妻に近づき、悪魔のようにささやく人物とは

結婚相手に経済的安定を求める女性は、多いと聞く。

結婚相手の職業人気ランキングを見ても、その通りと言えるだろう。

しかし中には、夢追う夫を信じ、支える“献身的な妻”というものもいる。

IT社長として成功した柳川 貴也(やながわ たかや)の妻・美香もそうだ。

一緒に貧しい時代を乗り越え、今でも夫の一番の理解者。彼女の支えがあったから成功出来たと言っても、過言ではない。

しかし、夫の思いとは裏腹に、財を手にした妻は豹変していく。欲望のままに。

◆これまでのあらすじ

美香の手帳から発見された、DVの記録。身に覚えのない貴也は混乱するが、それを知った弁護士は貴也に疑いの目を向ける。その背後にあるものとは一体…?


リリリリリリーン。

部屋中に、けたたましい音が鳴り響いた。どうやら、目覚ましがなっているらしい。

「う、うーん。もう少し寝かせてよ…」

美香は眠い目をこすりながら、自分のスマホをむんずと掴む。

−あと5分は寝られるじゃない…。

ホーム画面に表示された時刻を確認し、アラームを止めようとして、はたと気がついた。

−そうだ、私ホテルにいるんだった…。

そのけたたましい音は、スマホではなくベッドに埋め込まれたアラーム時計から鳴っている。起き上がってOFFにすると、部屋は途端に静かになった。

昨日、家を飛び出した美香は、近くのビジネスホテルに逃げ込んだのだ。本当は高級ホテルに泊まりたいところだが、家出が長期化することも考えると、費用を抑えておく必要がある。

それにしても、部屋が狭い。

広さ9平米のシングルルームは、ベッドが部屋の面積のほとんどを占めているほどの狭さで、とにかく息苦しい。

「あーあ、もう少しいい部屋にすればよかったかな」

美香は、こんな生活は1週間も耐えられそうにないと、大きくため息をついた。

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