母からの爆弾投下
進太郎は、外資系コンサルティング会社で働いている。
身長180cm、年収1,100万、東大経済学部卒。
ハリのある綺麗な肌に、涼しげな目と、薄めの唇。ひとつひとつのパーツは派手ではないが、絶妙なバランスで配置されている。
長い首に、ほどよく出た喉仏が特徴だ。
父親は有名私大の経済学部の教授をしている。小学校高学年から中学校までの5年間をアメリカで過ごした帰国子女で、TOEIC970点。
周囲からは“AIって、曽根さんの機械版作れば良いよね”と言われるほど、仕事が出来る。
高身長、高収入、高学歴。
この婚活ジャングル・東京で、よくぞご無事で!と言いたくなる、天然記念物のような男なのである。
◆
−結婚なあ…。
三越前の自宅マンションに戻ってきた進太郎は、ソファに腰を下ろした。
淹れたてのコーヒーを一口飲むと、心がすぅーっと落ち着いていく。
豆から挽いたコーヒーは、やはり美味しい。デロンギのコーヒーマシンは少々値が張ったが、自分で豆を挽く手間を考えれば安いものだろう。
進太郎は、加藤が手渡してきた、女の連絡先を眺めながら、両親との会話を思い出していた。
「進太郎、お見合いしてみない?」
南青山の『アントニオ』で母親の誕生日祝いをしていたところ、主役の母がぶっこんできた。
−突然どうした…!?
絶品の手打ちパスタに夢中だった進太郎は、突然の提案に言葉を失う。
「私ね、この前お友達に誘われて…」
−始まったぞ。
母・貴子ワールド開幕を敏感に感じ取った進太郎は、キュッと拳を握りしめて身構える。
「代理婚活パーティーに参加してみたのよ。そうしたら、しんちゃんモッテモテ。お嫁さんになりたいって人いっぱいよ!」
「ダイリコンカツ…!?」
母の口から発せられた衝撃の言葉に、思わず声が裏返ってしまう。これには父も驚いたようで、持っていたフォークを落としそうになっていたほど。
そんな様子を気にとめる様子もなく、貴子ワールドは続く。
「代理婚活って今多いのよ。親が子どもの結婚相手を探すの。しんちゃん大人気で、私、鼻高々だったわ。
色々な方が声かけてくれたけど、おひとり、とっても素敵なお嬢さんがいて。一度、会ってみたらどうかしら」
そう言って、母は、その“とっても素敵なお嬢さん”の押し売りを始めたのだ。
このままでは面倒なことになる。止めなくてはいけないと思った進太郎は、母の話を遮った。
「俺、結婚相手くらい自分で探す。頼むからやめてくれ」
すると母は、いかにも不機嫌そうな顔で、これまた意味不明なキレ方をしてきた。
「じゃあ、1年以内に結婚してください。あなた、曽根家の一人息子なのよ!?」
この記事へのコメント
男→涼しげな目+身長180サンチ
女→アーモンドアイ+透き通るような白い肌
うるせえよw
結婚しなくていいんじゃない?
ひとりがあってる気がするよ。