14日間の恋人 Vol.1

14日間の恋人:「名前も知らない男と…?」普段はマジメすぎる女が、旅先で初めての経験をした日

ひとり旅をするとき、こんな妄想をしたことはないだろうか。

ー列車で、飛行機で、もし隣の席にイケメンor美女が座ったら…?

そして、妄想は稀に現実になる。

いくつになっても忘れないでほしい。運命の相手とは、思わぬところで出会ってしまうものなのだと。

傷心旅行に発った及川静香は、素性の知らない男と恋に落ちる。

しかし彼は、大きな秘密を抱えていて…。

出会いから、別れまで、たった14日間の恋の物語。


Day1


19時50分、成田発、ホノルル行き、JL786便。

窓側の席に座った及川静香は、うつろな目で周りを見回した。

常夏の楽園へ向かう機内には、カップルや家族連れの期待や熱気が充満している。

月に一度は海外出張をする静香でも、このような“仕上がったムード”の機内はなかなか体感できない。ハワイ便特有のものなのだろう。

笑みを浮かべた人々を見渡していると、世界中で不幸なのは自分だけだという錯覚に陥る。

静香は、誰も座っていない廊下側の隣席を見た。

―本当なら、ここには健次がいたのに…。

誰にも悟られないよう、この場にそぐわぬ溜息をついた。



さかのぼること半年前。

静香は付き合って5年の恋人・健次と、2週間のハワイ旅行を計画した。

これまで二人で行った海外は、パリ、ニューヨーク、シンガポール、ロンドン、香港、ドバイの6か所。シティ派の静香と健次が、一緒にハワイに行くのは初めてだった。

いつものようにチケットも宿もすべて静香が手配し、ちょうど仕事で大きなプロジェクトもやり遂げ、晴れ晴れとした気持ちでハワイに行けると思った3カ月前、突然、健次にフラれた。

「静香と一緒にいると窮屈なんだ。静香は真面目すぎるし、きっちりしすぎてる。それと仕事人間すぎる。今まで我慢してきたけど、堅苦しくて、もう限界だ。別れてほしい」

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