天秤女~恋は同時進行で~ Vol.11

「君みたいな女、その程度の男しか寄ってこないよ」。男にモテているつもりが、全否定された女

最高の相手と結婚したい。誰もがそう思うだろう。

ときめき、安定、相性の良さ…。だけど、あれもこれも欲張って相手を探していると、人生は瞬く間に過ぎていくのだ。

「婚活は、同時進行が基本でしょ?」

そんな主張をする、強欲な女・与田彩菜。

―選択肢は多ければ多いほうがいい。…こっそり誰にもバレないように。

彼女は、思い通りに幸せを掴めるのか…?

◆これまでのあらすじ

彩菜は、経済力のある彼氏・直人一目惚れした仕事仲間・蓮相性抜群の友人・大輝と同時進行で交際し、ベストパートナーと結婚するつもりだ。

蓮に別れを告げた彩菜だが、直人には同時交際がバレて修羅場を迎え、大輝からは「男としてのプライドがズタズタ」とフラれてしまう。


2020年、令和初のバレンタインデー。

彩菜の前から3人の男が次々に去っていった最悪の年越しから、一カ月以上が過ぎた。だが彩菜は、その誰とも連絡を取らなかった。

正直なところ1人ぐらいは連絡をくれると思っていた。

『考え直してみたんだけど、やっぱり俺が間違ってた。彩菜ともう一度、付き合いたい』

これまで別れた男のほとんどが、長くても3カ月の間にそんな内容の謝罪LINEを送ってきた。だから安心していた。

しかし直人からも、蓮からも、大輝からも、待てど暮らせど連絡が来ることはなかった。

その一方で、自分から連絡をすることはプライドが許さない。

新しい男を3人ほど見つけ、捕まえ、新たな天秤恋愛を始めようかとも考えたが勇気が出なかった。勇気というよりは元気が出ないのだ。天秤恋愛にはパワーや気力が必要だ。

天秤恋愛を始めるきっかけの一つとなった先輩の葵に連絡をして、事の顛末を面白おかしく話して、笑ってもらおうかとも考えた。

でもマウントを取られる気がして、やめた。

―嫌なことは忘れよう。

その一心でキックボクシングジムに入会してみた。それも、わざわざ女性のトレーナーが教える、女性限定のジムに。

とにかく新しい男性と出会う気力が湧かない。

つい先日まで3人のパートナーと同時に交際していたのに、シングルになった途端、新たなパートナーとイチから関係を築き上げる自信もない。

気力も自信もゼロ。男もゼロ。

―今の私、ダサっ…。

自嘲と自虐の日々を送っていると、しだいにイライラが募り、怒りさえ湧いてくる。

―ていうか、なんでこの私が、こんな気持ちにならなきゃいけないの?

怒る資格は自分にはないことは、わかっている。それでも腹が立つ。

―私は悪くないわ。私をフッた男たちが悪いの。直人も、蓮も、大輝も全員最低。

心の中だけで悪態をついていると、幾分ストレスが発散され、不思議と気力も湧いてきた。

そんなある日のことだった。直人から突然、LINEが来たのだ。

『会って話したいことがある』

【天秤女~恋は同時進行で~】の記事一覧

もどる
すすむ

おすすめ記事

もどる
すすむ

東京カレンダーショッピング

もどる
すすむ

ロングヒット記事

もどる
すすむ
Appstore logo Googleplay logo