妻のベール Vol.2

妻がクローゼットに隠し持っていた大量の箱。夫が衝撃を受けたその中身とは

結婚相手に経済的安定を求める女性は、多いと聞く。

結婚相手の職業人気ランキングを見ても、その通りと言えるだろう。

しかし中には、夢追う夫を信じ、支える“献身的な妻”というものもいる。

IT社長として成功した柳川 貴也(やながわ たかや)の妻・美香もそうだ。

一緒に貧しい時代を乗り越え、今でも夫の一番の理解者。彼女の支えがあったから成功出来たと言っても、過言ではない。

しかし、夫の思いとは裏腹に、財を手にした妻は豹変していく。欲望のままに。

◆これまでのあらすじ

IT企業の経営者として成功した貴也は、これまでずっと隣で支えてくれた妻・美香に感謝する毎日だった。

しかしある日、貴也が早めに帰ると美香の姿はなく、遅くに帰宅した彼女は“ド派手な格好”をしていて、貴也の頭を混乱させた。


衝撃から一夜明け、貴也は経営者仲間が集う食事会に参加していた。

「調子良さそうですね」

声をかけてきたのは、大学の後輩でもある財前利樹だ。

スラリと背が高い彼は、トレーニングで鍛えているらしく、程よく筋肉がついている。顔も小さく、男から見ても羨むほどの美男である。

「まあな。おまえはどうなんだ」

財前は人材関連の会社を起業し、今は経営者となっていた。経営者としては、遅咲きの貴也よりも先輩なのだが、それでも彼は貴也のことを先輩と慕ってくれているのだった。

「ぼちぼちです。業績云々よりも、候補者が少なくて。いい人材知りませんか?」

「それを同じ経営者の俺に言うか。俺だって人材探しに必死だよ」

貴也が苦笑すると、彼も「そうですよね」と笑った。

「そういえば昨日、初めてガラパーティーってものに参加してきたんですよ。住む世界の違う人たちの集まりって感じで、疲れました。

僕は、やっぱり気心知れた人とこうやって飲む方が好きです」

財前の口からガラパーティーという単語が出た瞬間、貴也の脳裏に、昨晩の妻・美香の姿がフラッシュバックした。

−まさか、な。美香に限って、そんなものに参加しているはずがない。だってあいつは、派手なものが苦手なんだから。

咄嗟に胸に沸いた疑念を、慌てて打ち消す。だが、それでも心のどこかでは、妻への不信感が生まれ始めていた。

拭いきれない不安を押し流すように、貴也は手元のワインを一気にあおった。

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