結婚相手に経済的安定を求める女性は、多いと聞く。
結婚相手の職業人気ランキングを見ても、その通りと言えるだろう。
しかし中には、夢追う夫を信じ、支える“献身的な妻”というものもいる。
IT社長として成功した柳川 貴也(やながわ たかや)の妻・美香もそうだ。
一緒に貧しい時代を乗り越え、今でも夫の一番の理解者。彼女の支えがあったから成功出来たと言っても、過言ではない。
しかし、夫の思いとは裏腹に、財を手にした妻は豹変していく。欲望のままに。
「今日もおいしそうだな」
ランニングを終えた貴也がシャワーを浴びて部屋に戻ると、テーブルに朝食が準備されていた。
焼き鮭にほうれん草の胡麻和え、きんぴらごぼうに卵焼き。
妻の美香は、素朴だが温かい、そんな朝食を毎日作ってくれるのだ。
「美香が作る朝食は、世界一のパワーモーニングだな」
「貴也ったら、大げさなんだから。簡単な作り置きばかりよ」
照れ臭そうに笑う美香を、そっと見つめる。
−いや、本当に君は、素晴らしい女性だよ。
恥ずかしくて口には出来なかったが、心の中でそう呟いた。
「ほら、早く食べて。遅刻するわよ」
美香に急かされた貴也は、慌てて朝食を食べ始め、今日の予定をざっと報告しておく。
「今日は、クライアントと会食があるから遅くなる」
すると美香は、「OK」と指で輪っかを作って笑顔で答えた。
「それじゃ。いってきます」
貴也は、キーケースに大事に付けている、妻の手作りのお守りを握りしめた。
この記事へのコメント
夫の会社が不安定なときから生活を支えるためにこっそり夜系のバイトをしてて、今は好調とはいえどうなるか分からないから稼げるうちにと続けてるとか、そんなんじゃない?
ずーっと控えめにしてきたんだから