天秤女~恋は同時進行で~ Vol.7

「朝まで、あなたと一緒にいたい」夜中にコッソリ彼氏の家を抜け出して、女が会いに行った相手

シャワーから慌てて出てきた直人は、血相を変えていた。

「急にクライアントから連絡が入った。今から行かないと」

「え、大丈夫?」

「わからないけど、だいぶマズいらしい」

税理士の直人には、まれにこういう事態が発生する。

経理部に勤める彩菜には理解できるが、顧客が税理士に急な連絡を取るときは、だいぶよろしくない状況だ。たとえば税務調査が入るような…。

「今夜はもう帰れないと思う。合鍵を渡しとくから、寝てていいよ」

直人はそう言って飛び出して行った。彩菜はひとり、彼の家に残された。

渡りに船、というのは、まさにこのことだ。

彩菜は急いでスマホを掴むと、大輝とのLINE画面を開き、さっきは躊躇して送らなかったメッセージをすぐに送った。

『私だって今すぐ会いたい』

待ってましたとばかりに即座に既読がつく。そしてすぐに大輝から『じゃ、会おうよ』という返信が来た。

彩菜を引き留めるものは、もはや何もない。

『うん。会う』

かといって、すぐに直人の家を出るわけにはいかない。家の前でタクシーを待つ直人とばったり会ってしまったら気まずいからだ。

『1時間後とかに、大輝の家に行けると思う。大丈夫?』

『もちろん大丈夫!』


大輝の自宅があるマンション前でタクシーを降りると、なんと大輝は、クリスマスイルミネーションが飾られたエントランスロビーで待ち構えていた。

「会いたかった…!」

大輝は、通行人の目もはばからずハグをする。彩菜の口からも、自然と本音がこぼれていた。

「私も…」

家......


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