マルサンの男 Vol.15

「やっぱり彼女を手放したくない…」一度別れた男に、“結婚したい”と思わせた女の行動

男も女も、誰だって恋愛しながら生きていく。

だから愛するカレには、必ず元カノがいる。

あなたの知らない誰かと過ごした濃密な時間が、かつて存在したかもしれないのだ。

愛するカレは、どんな相手とどんな人生を歩んでいたのか――?

幸せ未来のため、相手の過去を知ることは、善か悪か。

あなたは、愛する相手の過去が、気になりますか?

◆これまでのあらすじ

29才の南美は、6才年上の恋人・数也がプロポーズを考えていると知り、幸せの絶頂にいた。だが同時に、彼の2度の結婚歴が気になり始める

二人の元妻たちと密会するが、その行動に気づいた数也から別れを告げられてしまう

しかも数也には3度の結婚歴があると判明。最初の妻・平木真穂とは交通事故で死別していたのだ。

南美は、数也と真穂の遺族と引き合わせ、両者は和解する。そしてマレーシアに移住するという数也から「ついてこないか?」と言われ…。


「えっと、これは、どっちだ…?」

南美は、スマホ片手にせわしなく歩き回っていた。

今、南美はマレーシアの首都・クアラルンプールに来ている。

鮮やかな陽光、洗練された街並み、きらびやかな夜景…。数也と旅行で初めてここを訪れたのが、四カ月前のこと。

あのときは何もかもが輝いて見えたが、今日の南美にとって、クアラルンプールはもはや巨大な迷路だった。

ーしまった…。迷子になったかも。

迷ったら電話して、と数也に言われていたから、すぐに電話する。数也は電話口で丁寧に道順を説明してくれ、最後にこう付け加えた。

「迷っても走らなくていいからね」

待ち合わせ場所に指定された『マリーニズ オン 57』のラウンジ。五分遅れで辿り着いた南美は、すっかり汗だくになっていた。

涼しい顔で待っていた数也は、南美を見るなり笑う。

「もしかして走ったの?」

「走らないでって言われたから走らなかったけど、競歩みたいに急ぎ足はした」

南美がそう言うと、数也は大いに笑った。

「俺はすっかり慣れたよ」

数也がこの街に移住して、すでに二カ月が経っている。

「炎天下の屋外は嫌だから、なるべく屋内を歩き続けるルートも覚えた。街には屋根つきの遊歩道も多いしね」

「私は無理。ぜんぜん慣れない」

「そりゃそうだよ。南美はクアラルンプールに住んでいるわけじゃないし」

二カ月ぶりに会った数也は、南美を見つめ、おだやかに目を細めた。

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