女たちの選択~その後の人生~ Vol.11

結婚してくれない彼と付き合い続けて10年。34歳で諦めかけた女に訪れた、思いがけぬ展開とは

ところが…結果として、琴美のこの決断は裏目に出た。

同棲を始めて4年が経過した今も、真一郎は未だ結婚に向けて動く気配がないのだ。

当然、痺れを切らした琴美が「どう思ってるの?」と詰め寄ったことも一度や二度ではないのだが、そのたびに彼は「考えていないわけじゃない」などと曖昧な返事しかしない。

そんな、のれんに腕押しするような煮え切らない態度に、琴美が居たたまれなくなって終わるというのが常だった。

「正直なところ、彼の性格を考えても、一緒に住んでしまえばどうにかなるんじゃないかって甘く考えていたかもしれないです。まさかそれから4年が経ってもプロポーズされないどころか、まるで状況が変わらないなんて…」

琴美は自分の浅はかさを嘲笑うように、乾いた声を出す。そして、しばしの沈黙の後「さすがにもう限界でした」と小さく呟いた。

「両親からもいい加減にしなさいと言われていて、つい先日は、どこのツテを辿ったのかお見合いの話を持ちかけてきました。今までなら考えるまでもなく断ってましたけど…さすがに私ももうこの年齢です。子どものことを考えるなら決断しなきゃダメだと思って」

同棲解消後に待ち受けていた、意外な展開


こうして、真一郎との10年に渡る交際、そして4年間の同棲生活を完全に解消し、琴美は数日前、浅草の実家に戻ったという。

気は進まないが、両親の勧めるお見合いも、まずは顔合わせから始めてみることにしたらしい。

一連の話を終え、取材場所を後にする際、琴美はしみじみと、こんな言葉を口にした。

「結婚前の同棲は、絶対にやめたほうがいいですね。新鮮さって、一度失われると二度と戻らないから」



ところが。琴美が真一郎の家を出た1ヶ月後。

…なんと、誰も想像もしていなかった展開が起こった。

真一郎が琴美の実家までやってきて、「長い間待たせて申し訳なかった。僕と結婚してほしい」とプロポーズしにきたというのだ。

琴美が涙ながらに、彼のプロポーズに「はい」と答えたことは言うまでもない。

お見合いを勧めたがっていた琴美の両親は渋い顔をしたが、最終的には「娘が幸せになれるなら」と言ってくれ、二人はようやく、結婚に向けて動き出したという。

結婚してくれない男を動かす方法は、ただ一つ。

彼を焦らせ、行動せざるを得ない状況を作り出すこと、なのかもしれない。

Fin.

【女たちの選択~その後の人生~】の記事一覧

もどる
すすむ

おすすめ記事

もどる
すすむ

東京カレンダーショッピング

もどる
すすむ

ロングヒット記事

もどる
すすむ
Appstore logo Googleplay logo