女たちの選択~その後の人生~ Vol.5

25歳でまさかの解雇通告を受けた東大卒の女が一変、“教育ママ”と化した理由

−“女”の幸せとは、結婚し、子どもを産み育てることである。

そんな固定概念は、とうの昔に薄れ始めた。

女たちは社会進出によって力をつけ、経済的にも精神的にも、男に頼らなくてもいい人生を送れるようになったのだ。

しかし人生の選択肢が増えるのは、果たして幸せなことだろうか。

選択に結果には常に自己責任が伴い、実際は、その重みで歪む女は少なくない。

この連載では様々な女たちの、その選択の“結果”をご紹介する。結婚願望が強い美香(34歳)不本意にデートを繰り返す人妻・真弓(32歳)産後鬱に陥った由里子(33歳)育児と仕事の両立に悩む会社役員の麻里に続き、今回はキャリアを逃した高学歴女・佳代(33歳)のお話。


File5:東大卒のスーパー専業主婦


名前:桐島佳代(仮名)
年齢:33歳
職業:専業主婦


「一番の関心ごとですか…?それはもちろん、子どもの教育です」

ブラックコーヒーを一口飲んで、佳代ははっきりとそう断言した。

ネイビーのジャケットに綺麗な折り目のついたホワイトパンツ。ブラックのケリーバッグを小脇に携えた彼女は都心のセレブママそのもの。一分の隙も見当たらない。

現在33歳の佳代には、8歳の男の子がいる。今朝も早朝から息つく暇なく動き回り、息子をサマースクールへ送り届けてきたという。

午後になり、お迎えの時間がくれば今度はサッカーの練習に連れて行く。さらにはその合間の隙間時間に、宿題も見てあげなくてはならない。

「子どもが学校や習い事に行っている間も、完全に自由な時間はありませんね。週1でハウスクリーニングを頼んでいますが、家はすぐに散らかるし。洗濯や食材の買い出しをしていたら、あっという間に1日が終わります」

つかの間のひとり時間に、自宅近くのカフェでブラックコーヒーを啜る。この一瞬が、現在の佳代にとって唯一の一息つける時間だという。

「…10年前は、まさか自分がこんな風になるとは思ってもみませんでした。私はむしろ、子どもなんて欲しくなかったから」

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