SPECIAL TALK Vol.61

~目標は「甘い地球を作ること」。枠にとらわれず、スイーツを武器に挑戦を続けたい~

金丸恭文氏 フューチャー株式会社 代表取締役会長兼社長

大阪府生まれ、鹿児島県育ち。神戸大学工学部卒業。1989年起業、代表取締役就任。

金丸:亡くなる前に一緒にお参りにいった神社から、お父様由来の名前がついたお店の商品を使いたい、と。運命を感じますね。やっぱり人生って不思議につながっていくものです。そもそも小学生のときに食べたショートケーキから、すべてが始まっている。同じショートケーキを食べた人は数え切れないくらいいたでしょう。でも美味しさに感動して反応したことで、今に至る道が拓けていったわけですから。

辻口:まあ、一筋縄ではいきませんでしたけど。大泉学園のあと、尾山台のフランス菓子の店で働きましたが、喧嘩して、白衣を投げつけて飛び出してしまいましたし。

金丸:飛び出して、また別の店に?

辻口:いや、すぐには決まらなかったので、当時建設中だった青山学院大学の基礎工事の現場で、2ヵ月ほどバイトしました。家からツルハシを担いで(笑)。

金丸:日本でチャンピオンになったあとなのに、建築現場で。面白いですね(笑)。

パティシエとしての経験を軸に多分野で社会貢献を

金丸:辻口さんはすでにスイーツの名店をいくつも持たれています。そんな辻口さんにとって、今後の夢は何ですか?

辻口:僕は甘い地球を作りたいんですよ。

金丸:なんだか糖尿病になっちゃいそうな(笑)。でもなかなか素敵な目標ですね。

辻口:もっと地球を楽しくしたい。そのために力を入れているのが、農業です。土作りからとことんこだわった素材で、お菓子を作りたいんです。地球温暖化が進んでいますが、気温が2℃上がるだけで、ガーナでのカカオ生産量が半分に落ち込むと言われています。自分の夢を叶えると同時に気候変動に備えるため、今、ペルーで自社農園を増やしているところです。

金丸:たしか、お菓子作りの学校法人も運営していらっしゃいますよね。パティシエという軸があるからこそ、いろいろなことにチャレンジされている。

辻口:挑戦ということでは、リゾート開発も手掛けています。三重県の菰野(こもの)町で『アクアイグニス』という温浴を中心にした食のリゾートをプロデュースし、2012年にオープンしました。人口4万人の町に今や年間110万人が訪れています。それを聞いた三重県多気(たき)町の町長から、「今度はうちでも」と声がかかり、2021年春のオープンを目指して建設中ですし、同じように、静岡県の小山町でも話が進んでいます。

金丸:凄まじい行動力です。お菓子というコンテンツは、みんなが喜ぶものだし、特に洋菓子は和菓子と違って、お葬式などの法事のイメージもなく明るいですよね。それを武器に戦えるというのは、大きな強みだと思います。それだけ活躍されていると、お店でお菓子を作る時間がなくなっちゃうのでは?

辻口:ちゃんと作っていますよ(笑)。それに、うちのスタッフには世界チャンピオンがいるんです。僕は自分のアイデアを隠さないし、とにかくすべて数値化してオープンにしています。

金丸:そんな環境だと、早く成長できそうです。

辻口:世界一のパティシエをどんどん輩出しながら、いろいろな分野で世界貢献していきたいですね。どの仕事も突き詰めていけば、お菓子作りも不動産も金融も、みんな同じだと思います。

金丸:お客様を喜ばせて対価をもらうという意味では、どれも同じです。辻口さんだけでなく、辻口さんのもとで学ばれた職人さんたちの今後の活躍も楽しみです。今日はお忙しいところ、本当にありがとうございました。

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