17f02b655fae7219cd723c004c0806
ミーハー女 Vol.1

ミーハー女:「ちょっと優しくすればOK」。男なんてチョロいと舐めていた女が、苦汁を飲んだ出来事


映画が終わり、仲睦まじくおしゃべりしているカップルで溢れるスクリーンを足早に去ろうとしていると、後ろから聞き覚えのある声がした。

「あれ、ミハルさん?」

振り向くと、そこにいたのは以前ファッションブランドのローンチ案件で一緒になった広告代理店のクリエイティブプランナーの匠だった。

少年のようにキラキラと輝く茶色い瞳と切れ長の目。髭を生やした口元は、口角がキュッと上がっており、それが妙にミハルの印象に残っている。

長身細身で筋肉質の身体からは、ふわりと香水の匂いを感じた。

「まさか『アラジン』、一人で観に来たの?」

ミハルが一人でいることに気がつき、少し意地悪そうに質問をする匠にムッとしたミハルは、思わず言い返す。

「違います。元々は商社マンと一緒に観る予定だったけど、仕事で急に来られなくなっちゃって。チケット勿体無いし、仕方なく一人で観ただけです」

「ふーん、そっか。ねぇ、それより映画、どうだった?」

「すごく良かったです。歌が上手で、映像も綺麗で」

「それだけ?」

「え?」

「映画観て感じたこととか考えたこととか、何も無いの?」

「いや、特に…」

「へぇ。まぁ、ミハルさんみたいな子は、そうだよね」

匠の見下すような一言にカチンときたミハルは、食い気味に返事をした。

「強いていうなら、“会いたくなる女”って、なんだろうって思いました」

「会いたくなる女、か。面白い視点だね」

その感想に興味を持ったのか少し目を見開いた匠に、ミハルは聞いた。

「匠さんにとって会いたくなる女って、どんな子ですか?顔が可愛いとか?」

この記事へのコメント

Pencil solidコメントする
No Name
仕事で知り合っただけの人にこんな言う、、、?
2019/10/06 05:1799+Comment Icon5
No Name
かたや寿司屋のカウンターに携帯置いちゃダメだよの一言も言ってやれない男もいれば、ただ一緒に仕事したことあるだけで上っ面で美学がないとズケズケと踏み込んでくる男もいる。なんでこんなにどっちかに振り切れたコミュ障しかいないの?
2019/10/06 05:5599+Comment Icon2
No Name
急に美学はなにっていわれても答えられない😂
2019/10/06 05:5299+Comment Icon3
もっと見る ( 98 件 )

ミーハー女

日々、新しいショップやレストランがオープンし、アップデートを繰り返す街・東京。

東京で、そのすべてを楽しみつくそうとする女を、時として人は「ミーハー女」と呼ぶ。

ミーハー女で何が悪い?

そう開き直れる女こそ、東京という街を楽しめるのだ。

PR会社に勤務するミハル(27歳)も、最新のものをこよなく愛する「ミーハー女」である。

ミーハー女・ミハルは、この東京でどう成長していくのか?その物語をお届けしよう。

この連載の記事一覧