ー直樹くん、15時半からのアラジン、チケット買っといたよ!また後でね〜ー
映画当日。
昼過ぎに送ったLINEに既読がつかないことに少し不安を覚えつつ、ミハルは上映開始15分前に映画館に到着した。
―直樹くん大丈夫!?笑―
しびれを切らしたミハルの連絡に、直樹が既読をつける。
―ごめん、ちょっと仕事がバタバタしてて、今日は難しそうかも…。またみんなで飲みに行こう!―
―え?もう、映画館来ちゃったんだけど―
―本当ごめん…また今度!―
直前にドタキャンをされた上に、直樹からの雑なLINEに追い打ちをかけられて、ミハルの目には涙があふれてきた。
「ドタキャンなんて、ありえない……」
困惑で立ち尽くす中、上演開始のアナウンスで我に返ったミハルは、半ばヤケクソで足早にスクリーンへと駆け込んだ。
小さい頃、お姫様になりたくていつも見ていたディズニーのアニメ。
今となれば、美味しいご飯をご馳走してもらって、みんなに褒めてもらって、いろんな男性にお姫様のように扱ってもらっている。
なのに、どこか満たされない気がするのは何故だろう。
『僕を信じて』
アラジンのセリフとともに、定番のあの曲が流れる中、ミハルは直樹にドタキャンされたことを思い出す。
ジャスミンは危険を冒してまで会いたいって思ってもらえてアラジンと結ばれるのに、どうして自分は一人でこれを観ているのか…。
ー私って、会いたくなるような女じゃないの?
ミーハー女
日々、新しいショップやレストランがオープンし、アップデートを繰り返す街・東京。
東京で、そのすべてを楽しみつくそうとする女を、時として人は「ミーハー女」と呼ぶ。
ミーハー女で何が悪い?
そう開き直れる女こそ、東京という街を楽しめるのだ。
PR会社に勤務するミハル(27歳)も、最新のものをこよなく愛する「ミーハー女」である。
ミーハー女・ミハルは、この東京でどう成長していくのか?その物語をお届けしよう。
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