ご主人との出会いは、5年前に遡ると言う。
先述した通り、丸の内の歯科医院で衛生士として働いていた時に患者としてやって来たのが、久志さんだった。
「最初は、本当に眼中になくて。だって、顔が全然タイプじゃなかったから(笑)」
当時、彼女は流行りの塩顔系の“イケメン”彼氏と交際中。彼は身長も180cm近くあり、とにかく全てがタイプだったそうだ。
しかしその彼は全く結婚願望がなく、28歳だった麻衣子さんは非常に焦っていたという。
「周りの友達や同期が続々と結婚していく中、私だけが取り残されていて。歯科衛生士で一生食べていくつもりはなかったし、とにかく“30歳までに結婚しないと”と、ある種恐怖のようなものまで感じていました」
—このまま一生、独りで生きていくなんて嫌だ。
そう思っていた矢先、治療を終えた久志さんから突然食事へ誘われた。
「最初は、本当に乗り気じゃなかったんです。だって全くイケメンじゃないし、トキメキは皆無。だから初デートの日は、全く気合を入れずに行きました」
しかし彼は、泣く子も黙る名店『アピシウス』を予約してくれていた。
“美味しいご飯が食べられる”、くらいのノリで挑んだデート中に、彼女はあることに気づいた。
「・・・食事中、とにかく楽しかったんです」
本来ならば初デート用に新しいワンピースでも買って、メイクもヘアもバッチリな態勢で行くところだが、その日の彼女は髪は巻かずにストレート、そして化粧も薄めで行った。
「でも、向こうは私の外見なんてあまり気にしていない様子で。何よりも、私自身が物凄く自然体でいられたんですよね」
イケメンの彼氏といる時は、常に自分も完璧でいなければならなかった。
釣り合うようないい女でいるように、向こうが寝てからしかメイクも落さなかったし、服装にも常に気を使っていた。
「それなのに、彼の場合は全く違った。こちらが気負っていないせいか、すごく楽で。こういう人と一緒にいられたら、楽しいんだろうなぁと」
ただし、やはり顔はタイプではない。
デート中も顔に対してときめくことはなかったが、それでも久志さんとの交際を決めた。
「イケメンの彼氏の方はプライドが無駄に高くて、私が追いかけているばかり。でも主人はストレートに“好きだ”と言ってくれて。大事にしてくれそうな人といた方が幸せになれるんだろうな、と直感で思いました」
こうして交際を始めた2人だが、もちろんイケメンに対する未練もあったのは否めない。
「友達に彼の写真を見せると、みんな“優しそうだね”って言うんです(笑)それって、外見を褒めるところがない人に対する常套句ですよね?あと街で知り合いに会っても、堂々と紹介はできなくて・・・」
そんな葛藤はあったようだが、30歳までにどうしても結婚したかった彼女は、自身の置かれている状況を冷静に判断した。
「見た目・経済力・中身。この3つが全てそろっていたら完璧ですが、周りを見てそれは難しいということが分かっていました。だから経済力と中身、2つをクリアしている彼と結婚したんです。30歳過ぎたら、その3つのうち、さらにもう1つを諦めなきゃいけなくなりそうじゃないですか?」
この記事へのコメント
まさにその通り!
顔は慣れるしイライラさせられないけど、
性格あわないとイライラし続けちゃうよ。
私は自分の顔嫌いだけど、
そっくりな娘の顔は
世界一かわいく見えるから不思議(笑)
同じこと言っているのに「イケメンを妥協した」という引き算の要素が入るだけで上から目線がイラっとします。笑
じゃあ自分は非の打ち所がないパーフェクトな人間なわけ?
相手からしたらこんなもんかーって妥協されてるんじゃないの。笑
タイトルからイライラする