32歳のシンデレラ Vol.9

「妻とは別居中だけど、何か問題ある?」逆ギレした既婚男に、打ちのめされた女

「その10年が人生を決める」とも言われる、20代。

大半は自分の理想や夢を追い、自分の欲に素直になって、その10年を駆け抜けていく。

しかし中には事情を抱え、20代でそれは叶わず、30代を迎える者もいる。

この物語の主人公・藤沢千尋は病に倒れた母のため、都会に憧れつつも地元の愛媛に残り20代を過ごす

しかし母が他界したことをきっかけに、30歳にして初上京。そのまま婚活デビューを果たすことに。しかし20代で恋愛をしなかったためか、癖の強すぎる弁護士・春樹に掴まったり、若手にマウントをかけられたりと大苦戦…。

そんな中、高校時代の先輩で憧れの人・良太と再会し、2回目のデートに臨むのだが―。


“良太さんって結婚されてたんですか―?”

2回目のデートを終え、帰宅した千尋は、言い出せずに結局飲み込んだ言葉を頭の中で繰り返した。

その疑惑のきっかけは、誕生日祝いのメッセージをくれた、大学時代の友人・明日葉とのやりとりだった。

彼女は、関西にいた大学時代、一緒に上京することを夢見ながら叶わなかった千尋のことを、海外で子育てをしながら暮らす今も気にかけてくれている。

“誕生日おめでとう♡東京はどう?楽しめてる?”

“お祝いありがとう。まだ慣れないことばかりで。でも懐かしい人に会えたの。良太さんって、覚えてる?私の高校時代の先輩で、明日葉もOB訪問のとき、東京で会った人”

すると既読がついたまま返事が来なくなり、3日たってこんなメッセージが届いた。

“うん、覚えてる。就職してからも何回かあったし。確か、かなり前に結婚して、子どももできたらしいね。それからは会ってないけど”

―結婚して、子どももいる…?

千尋は本人からは全く醸し出されなかったその情報に一人絶句していた。

おそらく明日葉が返事に3日を要したのは、きちんと裏をとったからだろう。長い付き合いだからこそ、千尋と良太が男女の関係に進もうとしていることを察知し、やんわりと釘を刺したのかもしれない。

そして、本人に直接確認しようと決意して臨んだ2回目のデート。憧れの人を信じたい気持ちと、自己主張できない弱さから、千尋は切り出すタイミングを結局見つけられなかった。

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