32歳のシンデレラ Vol.5

「職場一の美女に似てる」イケメン同僚の言葉に踊らされる、上京2か月目の30歳OL

「その10年が人生を決める」とも言われる、20代。

大半は自分の理想や夢を追い、自分の欲に素直になって、その10年を駆け抜けていく。

しかし中には事情を抱え、20代でそれは叶わず、30代を迎える者もいる。

この物語の主人公・藤沢千尋は病に倒れた母のため、都会に憧れつつも地元の愛媛に残り20代を過ごす

しかし母が他界したことをきっかけに、30歳からもう一度、上京を決意し、就職活動を始めることに。苦戦しつつも父の紹介もあって総合法律事務所に就職が決まり上京した千尋。

就職先で茉莉と出会ったことをきっかけに、運命の歯車が回りだす……?


「出会いの場って、普段は食事会ばっかりなんだけど、たまには違うことも試してみたいじゃない?その方が面白いし。千尋ならわかるでしょ?」

婚活パーティーに誘ってきたとき、茉莉はそう言って笑った。彼女は、30歳から上京してきた千尋のことを、『新しいもの好き』『刺激を求めるタイプ』と思っている節がある。

千尋自身はそんなふうに周りから評価されたことが一度もなかったので、茉莉にそう扱われることが不思議で仕方なかった。

「私、ずっと受け身というか安定志向だと思われてて、というか私自身も思ってるんだけど……」

そこでそう言ってみると、「でも事実、自分で上京してきたじゃん」とさらっと返された。

「そっか、そう言われると、確かにね」

上京して2か月で同僚と婚活パーティーに繰り出すなんて思ってもいなかったが、その“予想外”は意外と心地よく感じられてもいた。

「これに応募しとくから」

茉莉が見せてくれたスマホの画面には、“32歳以下の女性限定!”“医師・士業・経営者の男性参加多数”の文字が躍っている。

「場所的には丸の内が固いかなぁ。土日より平日の夜の方が、その辺が職場の男がくるとみた!千尋はどう思う?」

「うーん、そうだなぁ」

茉莉は策士な一面を全く隠さないので、千尋も一緒になって策を練り、結局、金曜日の夜19時、丸の内の会場で申し込みをいれたのだった。

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