
~自分のなかの「やりたい」に正直に生きる。それが“新しい”を作る原動力になる~
2020年のニューリーダーたちに告ぐ
2012年、従来の求人サイトとは一線を画すサービスが誕生した。
「ウォンテッドリー ビジット」には、報酬や福利厚生などの雇用条件は一切記載されていない。企業の魅力を伝え、それに共感した人が、気軽に企業に遊びに行き、採用担当者や現役社員と直接、本音で対話する。
これまで当たり前のように行われてきた採用面接では、お互いの本当のところはわからない。そう感じる人と企業が増えてきたからこそ、サービス開始直後から、多くの利用者を獲得した。
また、2016年から開始した、名刺管理を通じたつながり管理機能「ウォンテッドリー ピープル」の利用ユーザは400万人を超える。
ウォンテッドリーを生み出したのは、仲 暁子氏。新卒で就職した外資系企業を辞め、漫画家を志して漫画漬けの日々を過ごした後、再びビジネスの世界に戻ってきたという異色の経歴を持つ。
仲氏の生き方から、次代を切り拓くニューリーダーに必要な哲学が見えてくる。
金丸:本日はウォンテッドリー株式会社の仲 暁子代表取締役CEOをお呼びしました。お忙しいところ、ありがとうございます。
仲:こちらこそお招きいただき光栄です。
金丸:今日は六本木の『鮨 由う(ゆう)』を舞台に、江戸前の伝統と自由な発想を組み合わせたお鮨をいただきながら、仲さんのお話を伺います。大将いわく「最近は自由すぎると言われています」だそうですよ。
仲:そうなんですね。どんなお鮨が出てくるか楽しみです。
金丸:さて、読者のために、はじめにウォンテッドリーのサービスを簡単にご説明いただけますか?
仲:はい。私たちは「シゴトでココロオドルひとをふやす」というビジョンを掲げて、キャリア構築や名刺管理などビジネスに特化したSNSを展開しています。就職の際、給与や福利厚生を気にする人は多いですが、そういった条件面だけで検討しても、本当に自分がやりたい仕事にたどり着けるかというと、かなり疑問です。
金丸:だからウォンテッドリーの企業情報には、条件に関する記載がないんですね。
仲:条件も非常に大事ですが、それだけではなく、自分が没頭できるような「意義」や「価値観」に沿った仕事ができなければ、長期的には続きません。私自身も新卒時に悩んだり、周りで同じように悩む若手を見ていて、自分が気になる仕事や企業を見つけたら、まずは会社を訪問し、社員から気軽に話を聞けるサービスがあったらいいのにと思い、ウォンテッドリーを始めたんです。
金丸:オフィスに遊びに行ける、というサービスは非常にユニークですよね。
仲:就職を結婚にたとえるなら、私たちはデートのきっかけを提供しているようなものです。デートもしないで結婚する人は、今の時代、めったにいませんよね。
金丸:それに、今の採用面接は、デートとは言えません。多くの場合、お互いにきれいごとを話しているだけですから。
仲:そのとおりです。まずは気軽に話してみて、共感を覚えたら、さらに詳しく知ってみる。そうしたステップを踏むことで、就職後に「こんなはずじゃなかったのに」という後悔を減らし、やりたい仕事に全力投球できるようにする。それがウォンテッドリーの目指すところです。
金丸:そういうプロセスがあれば、ミスマッチも起きにくいかもしれません。ところで仲さん、本気で漫画家になることを目指していた時期があると伺いましたが。
仲:ええ。活動していた期間としては短いですが。
金丸:そういう起業家はなかなかいないので、お話を聞くのが楽しみです。仲さんはまだ30代半ば。そんな若い人がどのように生まれ育ち、新しいサービスを生み出したのか、探っていきたいと思います。