
~自分のなかの「やりたい」に正直に生きる。それが“新しい”を作る原動力になる~
研究者の家に生まれ、わが道を行くことを教わる
金丸:早速ですが、お生まれはどちらですか?
仲:千葉県です。ただ、あまり地元という意識はないですね。両親が研究者で、私が生まれたとき、母が千葉の大学で教えていたのでたまたま、という感じです。ふたりとも今は違う大学に勤めていて、千葉にはもう家もありませんし。
金丸:ご両親のご専門は?
仲:母は認知心理学、父は生物情報科学です。
金丸:両親とも研究者という家庭は、想像もつきません。やっぱり厳しいご家庭なんですか?
仲:いいえ、まったくそんなことはなくて。ふたりとも放任主義で、研究者にありがちな、いい意味で常識がないんです。たとえば、私はランドセルを買ってもらえませんでした。
金丸:えっ、そうなんですか?
仲:実は、小学校にあがるときに母がアメリカの大学に勤めることになり、私もついていったので、1年生の一年間をアメリカで過ごしました。2年生のとき千葉に戻ってきたのですが、アメリカで買った学校用のリュックがあるからと、ランドセルは買ってもらえず、それを使い続けることに。
金丸:周りはみんなランドセルなのに、仲さんだけがリュックサック。
仲:当然浮きまくりで、すごく恥ずかしかったですよ。
金丸:つまり、ご両親は無駄に周りに合わせようとはしない。
仲:そうですね。おかげでいろいろと恥ずかしい目に遭いましたが、でもそういう恥ずかしさって次第に慣れてくるというか、克服できたというか。最後は「まあいいか、ゴーイングマイウェイで」みたいに(笑)。
金丸:ご両親の教育、成功していますね。
仲:それから低学年の頃は、テレビ禁止でした。
金丸:テレビ禁止だと、「あのドラマ見た?」というようなクラスの会話についていけなかったんじゃないですか?
仲:確かにドラマの話をした記憶がないですね。いったい何を話していたんですかね。覚えてないです。
金丸:友達はいました? なんだか心配になってきましたよ。
仲:いました、いました(笑)。でも、すごく人見知りだったし、物静かな子どもでしたね。
金丸:今の仲さんからは考えられないです。
仲:そうですか。ベースは今も変わらないと思います。根は超内向的だけど、人前では外向的に振る舞うという感じで。
金丸:ということは、放課後は家にまっすぐ帰るタイプでしたか?
仲:そうですね。ものづくりが好きで、絵を描いたり工作をしたりしていました。テープレコーダーを使って、ラジオ番組の真似事もしていましたね。
金丸:クリエイティブですね(笑)。
仲:それから、うちにはパソコンが何台もあって。両親が2年くらいで買い換えるので、私もMacを1台譲ってもらいました。
金丸:それは素晴らしい。子どもの頃からパソコンに触れていると、いろんなことができることがわかり、子どもの可能性を一気に広げてくれます。
仲:私も1、2年生の頃はお絵描きをするくらいでしたが、3、4年生のときに、うちにインターネットがつながってからは、ホームページを作ったりしていました。
金丸:当時だと、パソコンで遊んでいる子は周りにいなかったんじゃないですか?
仲:全然いませんでした(笑)。でもインターネットが面白くて、ひとりで夢中になって遊んでいましたね。