家族ぐるみ Vol.8

「お願いです、許してください…」謝罪の末にたどり着いた、妻同士の奇妙な関係

海野美希(36)は、夫の海野誠(38)の提案で、誠の学生時代の友人2家族と家族ぐるみの付き合いを開始。

山本家と日向家を誘いBBQをすることになるが、山本家の不愉快な態度に「今後のお付き合いは控えたい」と感じる

ところがさらに3家族揃ってキャンプに出かけることに。

キャンプでの雰囲気は思いの外和やかなものだったが、一転、山本家の娘・蘭ちゃんの怪我というトラブルで、ついに美希は誠に「家族ぐるみの付き合いをもうやめたい」と伝える

誠から「もう皆とは会わなくていい」と告げられるが、蘭ちゃんの母・山本律子から呼び出されてしまった。


『センスティーコーナー』の窓際に座る律子は、険しい表情で外の景色を眺めていた。

珍しく黒いワンピースに身を包んでいる律子の姿は、今の美希の目にはまるで死刑を宣告する死神のように見える。

喉元に鉛がせり上げてきたかのような息苦しさを必死に飲み下すと、先ほど購入したとらやの羊羹の紙袋をぎゅっと握りしめて歩みを進めた。

「律子さん…お待たせしてしまったみたいで、すみません」

背後からそう話しかけると、律子はハッと現実に引き戻されたかのように美希の方を振り返る。

「美希さん、突然お呼び立てしてごめんなさいね。さぁ、お座りになって」

着席を促す律子の表情には、当然ながらひと欠片の微笑みも見つけられない。

美希は、紙袋を持っていない右手で酸素の行き届かない胸元を撫で付けながら、指示されるがまま奥のソファ席へと腰を下ろした。

適当に注文を済ませてウエイターをやり過ごすと、気まずい沈黙だけが残った。

その沈黙を最初に打ち破ったのは、律子の方だった。

「どうしても美希さんと直接お話したいことがあって、いてもたってもいられずご連絡してしまったの。これを受け取っていただけるかしら…」

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