家族ぐるみ Vol.7

「君はもう来なくていい」と言われた妻が、それでも”家族ぐるみ”を続ける深い理由

マンネリな毎日に飽き飽きしていた海野美希(36)は、夫の海野誠(38)の提案で、誠の学生時代の友人2家族と家族ぐるみの付き合いを開始。

山本家と日向家を誘い自宅でBBQを開催したが、山本家の不愉快な態度に「今後のお付き合いは控えたい」と感じてしまう

ところが今度は3家族揃ってキャンプへ出かけることに...しかしその場で美希は、両家族の不快な態度は些細な価値観のズレによるものだったことに気がつく

キャンプでの雰囲気は思いの外和やかなものだった。

ところが一転、山本家の娘が怪我をし、しかも娘の真奈のせいにされてしまったことで、ついに美希は誠に「家族ぐるみの付き合いをもうやめたい」と伝えるのだった


−俺...実は、美希が無理しているの、ずっと前から気づいていたんだ−

夫の口から聞かされた、衝撃の告白。

思いもよらぬ言葉に身を固くする美希だったが、そんな妻を目の前にして誠は尚も言葉を続ける。

「内輪の話も多かったし、BBQの時もたくさん働いてくれていたよね。無理してることは分かっていたけど、でも…。俺はあいつらのことが好きで、集まるといつも楽しかったから、美希も少しは楽しんでくれてるんじゃないかとも思ってた。いや、そう思い込もうとしてたんだ。本当にごめん…」

そう言いながら誠は、美希の体を一層強く、優しく抱きしめた。

思慮不足と紙一重の純粋さ。それは、誠の短所でもあり長所だ。きっと誠は言葉の通り、心から美希が楽しんでいると信じ込んでいたのだろう。

だが美希は、誠の希望的観測的な言葉をあながち真っ向から否定することができなかった。

―私、本当にずっと苦しいだけだった?

誠くんが友達と子供みたいに笑ってるのを見ている時は、幸せな気持ちだったよね?

嫌々来たキャンプも、こんな事件が起きるまでは私もちゃんと楽しめていたよね?

仲良くなりたいっていう気持ちは、本心だったよね…?

やっと誠に辛い気持ちを伝えられたというのに、美希の心に広がる憂鬱は不思議と晴れてくれない。

答えの出ない自問自答を心のうちで繰り返しながら、美希は煩わしい現実をシャットアウトするかのように誠の肩に顔を埋めた。

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