オトナの恋愛塾~解説編~ Vol.62

結婚願望がなかった男に、交際たった3ヶ月で“彼女と結婚したい!”と思わせたキッカケ

解説2:心境変化ではない。タイミングが、良かった。


交際が始まり、約3ヶ月が経った。週末はお互いの家(僕の家に来る割合の方が高かったが)に泊まることも増え、仲良く過ごしていた。

ここまで付き合っていて思ったのは、英玲奈には何も嫌なところがない、ということ。些細なこともあまり気にならないし、居心地の良さは抜群だ。

そんなことも大きかっただろう。しかしそれ以上に、僕と英玲奈の関係を一気に進めるようなキッカケがあったのだ。

それは、ある土曜の朝だった。

僕の家に泊まり、服を着替えに自分の家へ帰ろうとする英玲奈が、玄関先で呟いた。

「家へ帰るの、面倒だなぁ・・・」

それは確かにそうだろう。一緒に住んでいたら、一度家へ帰る手間も省ける。だから僕は、冗談でこう言った。

「そしたら一緒に住んじゃう?」
「いやいや、ここに二人は住めないでしょ」
「たしかに二人だとちょっと狭いか・・・そういえば、俺もうすぐ更新なんだよね」

ここまでは、冗談だった。しかし、次の一言で“あれ?”と思ったのだ。

「あ。私もだ」

—へぇ。二人揃って、家の更新か。

更新が重なっていたこと。これが、僕の心の中で引き金になった。

そして決定打となったのは、その数週間後に『珀狼』にて二人でご飯を食べている時の出来事だった。

「どうしたの?拓海、今日はテンション高くない?」

一品一品、美しくて繊細な料理を楽しみながら、ソムリエの方が料理に合わせて出してくれるペアリングのワインは抜群に美味しい。それもあるが、僕のテンションが高い理由は他にあった。


「いや〜実はちょっと、昇進が決まって」

ずっと僕は、仕事に邁進してきた。自分なりに一生懸命頑張ってきたから、その成果が認められた気がして、心底嬉しかった。そしてどこか、ホッとしていた。

表には出してこなかったが、今期で出世しなかったらどうしようかという不安も実は内心あったのだ。けれどもこの日は、その不安から解放され、実に晴れやかな気持ちだった。

「すごいじゃん!!おめでとう!今日はお祝いだね!」

英玲奈はまるで自分のことのように喜んでくれている。その笑顔を見て、僕は思わずこう言っていた。

「あのさ、英玲奈。結婚しない?」

言いながら、自分でも少し驚いた。自分がプロポーズをする日が来るなんて、全く思ってもいなかったからだ。

しかし今、ごく自然に、この言葉が口から出てきた。

「へ・・・?え?本当に??」

英玲奈は非常に驚いており、その顔には「でも、拓海結婚願望ないんじゃなかったっけ・・・?」と書いてある。僕だって自分でも驚いているくらいだから、そりゃそういう反応になるだろう。

けれども、今回はお互いの更新時期が重なり、そして昇進が決まって一安心したという時期も重なり、全てのタイミングが揃ったような気がしたのだ。

そして、“結婚するなら今なんだろうなぁ”と本心から思えた。

前の彼女は交際して3年だったが、常に自分に余裕がなかったためか、家庭を築くどころではなく、こういった感覚に陥ったことはなかった。けれども今は、万事オーケーだと思ったのだ。

結婚に大事なのは、フィーリング、タイミング、そしてハプニングだと聞いたことがある。

この3つの“ING”説は、あながち間違ってはいない。


男からすると、結婚はたまに墓場だと思うこともある。財産だって自分だけのものではなくなるし、負担も増える。それに、まだ遊びたい欲もある。だからこそ、決断できない時も多い。

そんな時に背中を押してくれるような外的要因は、やはり大きいのだ。

—タイミングって、大事だよなぁ。

目の前で涙ぐむ英玲奈を愛しく思いながら、僕は幸せな気持ちに満ち溢れていた。


▶NEXT:7月13日 土曜更新予定
旅行で分かる、お互いの相性。

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