2019.06.21
SPECIAL TALK Vol.572020年のニューリーダーたちに告ぐ
「働き方改革」が叫ばれ、副業・兼業解禁の機運が高まりつつある日本。11年前の2008年、その先駆けとなるフリーランスタレントプラットフォームサービス「ランサーズ」が誕生した。
高いスキルや実績があっても、フリーランスの個人が大企業から仕事を受注することは難しい。そんな状況を打破すべく、個人と企業をつなげるサービスとして「ランサーズ」を立ち上げたのは、大手IT企業から飛び出した秋好陽介氏だ。
高校時代にはファッションにのめり込み、大学進学も眼中になかったという秋好氏が、どのような過程を経て、社会課題解決の最前線に立つことになったのか。
秋好氏のビジネス哲学と仕事観から、次代のリーダーたちが生き抜くためのヒントが見えてくる。
秋好陽介氏 大阪府生まれ。大学時代、インターネット関連のベンチャービジネスを起こす。2005年にニフティ株式会社に入社。複数のインターネットサービスの企画・開発を担当。仕事の受託者・発注者、両方の立場を経験したことから、個人と法人のマッチングサービスを思い立ち、2008年4月に株式会社リートを創業。同年12月、インターネットを通した個人と法人の自由な仕事のやりとりを目指すフリーランスタレントプラットフォームサービス「Lancers(ランサーズ)」の提供を開始する。現在はランサーズ株式会社の戦略および経営の統括に従事。
金丸:今回は、ランサーズ株式会社代表取締役社長の秋好陽介さんにお越しいただきました。お忙しいところ、ありがとうございます。
秋好:お招きいただき光栄です。ありがとうございます。
金丸:お話を伺う舞台は、渋谷の『ラチュレ』です。クラシックなフレンチを追求するなかでジビエの魅力に目覚めたシェフは狩猟免許まで取得されたそうで、情熱を感じるひと皿を楽しめるお店です。
秋好:それはすごいですね。とても楽しみです。
金丸:秋好さん率いるランサーズは、個人が企業から仕事を受託できるフリーランスタレントプラットフォームサービスを、日本に定着させました。日本の硬直した働き方に一石を投じる、重要な役割を担っています。
秋好:恐縮です。働き方改革の影響もあって、今後自由に働く人はますます増えていくと思います。今まで以上に時間と場所にとらわれない働き方ができるようにするには、どのような仕組みが最適なのか、起業して10年経ちますが、まだまだ模索中です。
金丸:今日は秋好さんがどのように育ち、ランサーズ創業に至ったのかをじっくり伺いながら、今後日本における働き方がどう変わっていくとお考えかも、お聞きしたいと思います。どうぞよろしくお願いします。
おまけシールのトレードで、小学生から商売に親しむ
金丸:早速ですが、お生まれはどちらですか?
秋好:大阪府の茨木市ですが、育ったのは隣の高槻市です。
金丸:同郷でしたか。私は枚方市の生まれです。高槻市とは淀川を挟んだ向かい同士ですね。
秋好:そうだったんですね。遊園地の「ひらかたパーク」にはよく遊びに行きましたよ。
金丸:ご両親はどのようなお仕事をされていましたか?
秋好:父はNTT関連の工事を請け負う個人事業主で、母が経理をしていました。
金丸:サラリーマン家庭ではなかったんですね。振り返ってみて、秋好さんの起業にご両親の影響はありましたか?
秋好:高校生になったばかりの頃、母が確定申告をしているのが不思議で、そこから事業にも興味を持ち始めました。「売上ってどうやってできるんだろう」と気になり、父についていって一緒に仕事をしたこともあります。
金丸:高校時代から起業家としての素質を磨いていたんですね。
秋好:でも遡れば、実は小学生の頃から商売をしていたんですよ。
金丸:どういうことですか!?
秋好:僕が小学校低学年の頃、「ビックリマンシール」が大流行していました。お菓子についてくるおまけのシールなんですけど、シールのなかにはキラキラしたレアなものがあって、みんなそれを欲しがるんです。だから僕は、レアキャラのシールを安く買い集めて、欲しいという友だちに高く売っていました。
金丸:すごい小学生ですね!
秋好:今でも覚えているのは、100円で譲ってもらったシールが300円で売れたこと。衝撃でした。お金が欲しいというより、トレードのゲーム性が楽しくて、当時はファミコンも大人気でしたが、ファミコンよりもずっと面白かったです。
金丸:「100円で仕入れる」という段階で、すでにリスクを取っているし、リスクを取ったからこそ、売値を300円に設定できる価格決定権を握ることができた。商売の基本をしっかり押さえていますね。
秋好:なるほど。それが楽しかったんでしょうね。自分で価格を決めて、相手と交渉するという。ただ4年生からは、サッカーに夢中になりました。『キャプテン翼』を見て、「翼くんになれたら、めちゃくちゃモテるぞ!」と。サッカー部に入り毎日サッカーに打ち込んで、上達するためにノートまで作っていました。
金丸:勉強のほうはどうでしたか?
秋好:最低限の勉強はして、宿題もちゃんとやっていましたが、小学校の6年間、通信簿に「授業中は後ろを向かないように」と書かれ続けていましたね。
金丸:落ち着きがなかった?
秋好:はい。すぐ授業に飽きてしまって。
金丸:それは先生の問題ですよ(笑)。飽きさせないように工夫をしないと。子どもは集中力が長く続かないものですから。
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